一昔前まではDVといえば「男性が女性に暴力を振るうもの」と認識されていました。ところが最近では、女性が男性に暴力を振るうケースも増えてきているのです。本記事では、男性がDV被害者となったときの離婚について、Authense法律事務所の離婚問題に精通する白谷英恵弁護士が解説します。
男性がDV被害を受ける事例が増えている
「DVは女性が被害者になるものだ」
「身体が大きく力も強い男性が被害者になるなんて、どういうことだろう?」
男性がDV被害を受けるというと、上記のように感じる方が多いかも知れません。しかし現実には、男性がDV被害を受ける事例が増えていることを示す公的な調査結果が存在します。
平成29年度に調査が実施された内閣府「男女間における暴力に関する調査配偶者からの暴力の被害体験」によると、妻から身体的暴行、心理的攻撃、経済的圧迫、性的強要のうち、1つ以上をされたことがあると回答した男性の割合が約20%でした。つまり夫婦の5組に1組は男性が暴力を受けている可能性があるといえます。
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男性からのDV相談が増えている
警察に寄せられる相談内容でも、男性からのDV相談事例が増えているといいます。警視庁の発表によると、2018年度におけるDVに関する相談者の件数と割合は、女性が7,471件で82.6パーセント、男性が1,571件で17.4パーセントとなっています。2014年には男性からの相談はわずか181件で4.41パーセントに過ぎなかったところ、どんどん件数と割合を増やし、2018年には件数的には8倍以上、割合的にも4倍近くになっています。
このことからしても、現実に男性が女性によるDV被害を受ける事例が増加していることがみてとれます。