「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。今回は58歳女性の「会話が苦手な主人といても楽しくない」というお悩みに、仏教の教えをわかりやすく説いて「穏やかな心」へ導く住職・名取芳彦さんが回答します。
58歳女性の「会話が苦手な夫といても楽しくない」というお悩み
結婚生活20年、大学生の子どもが1人います。
そろそろ子育てを終えようとしていて、ふと周りを見ると、夫婦二人だけに。おしゃべりが苦手な主人と一緒にいても、休日が楽しくありません……。今後定年することを考えると……寂しくなります。
これから生きる上でのハッピーな考え方を教えてほしいです。
(58歳女性・MAさん)
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名取さんの回答:無口なご主人にこそ積極的におねだりを
我が家の子どもたちが小学生だった頃、家内に「親の責任ってどこまでだと思う?」と聞いたことがあります。そのときは「成人するまででしょ」という答えでした。10年ほどして同じ質問をすると「結婚するまでよ」と責任のゴールが先送りされました。
私は「最終学校を卒業するまで」と漠然と考えていましたが、子どもの立場からすれば、私は父や母に「生んでくれただけで、責任は十分果たしてくれたよ」と言いたい気持ちでした。
親が思う「親の責任」と子どもの考える「親の責任」には、ずいぶん違いがあるものです。
MAさんは、大学生になったお子さんに対して「子育てを終えようとしている」とおっしゃっているので、最終学校の卒業までが親の責任としていらっしゃるかもしれませんね。
おしゃべりが苦手なご主人は、親の責任についてどう考えていらっしゃるのでしょう。正解はないでしょうが、「父よ、言いたいことはハッキリ言え。母よ、言いたいことをそのまま言うな」という格言(?)が好きな私は、ご主人の口からどんな言葉が紡ぎ出されるのか、個人的にとても楽しみです。
さて、当面の課題は、おしゃべりが苦手なご主人と一緒にいる時間が増えることのようですが、無口なご主人なら、MAさんのおっしゃることには文句や不平を言わず、たいがいのことは聞いてくれるでしょう。だとすれば、ラッキーです。
無口であるのをいいことに、行きたいところ、食べたいものをおねだりしてみてはいかがですか。
ちなみに「ねだる」は漢字で「強請る」。強請は「無理に頼むこと。無理にせがんで求めること」といった愉快な意味です。つまり、MAさんのやりたい放題です。