50歳前後に訪れる閉経を迎え、女性の体は大きく変化します。更年期症状が現れるだけでなく、さまざまな病気のリスクが高まります。「この年代に気を付けたい病気特集」の第1回は、年を重ねてから気を付けたい病気を医師に教わります。
取材・監修:松村圭子さんのプロフィール
まつむら・けいこ
広島大学医学部卒業。広島大学附属病院などの勤務を経て現職。日本産科婦人科学会専門医。若い世代の月経トラブルから更年期障害まで、女性の一生をサポートする診療を心がけている。西洋医学のほか、漢方や各種点滴療法なども治療にとり入れ、近年は、自身の食事を見直す中で女子栄養大学食生活指導士2級の資格を取得。著書に『これってホルモンのしわざだったのね 女性ホルモンと上手に付き合うコツ』(池田書店刊)や『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社刊)など多数。
(広告の後にも続きます)
閉経で体は変わる!50歳前後こそ健康の見直しを
女性は50歳前後になると閉経を迎えます。更年期症状を自覚するかどうかは人によって異なりますが、更年期には多くの方がほてりや発汗など、今までに見られなかった不調を感じたり、体型や肌、髪など、外見にも変化の兆しが見えてきます。
その原因は40代後半頃から、女性の体をガードしていた女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少していくからです。それに伴い、自律神経失調症状や精神的な不調など、さまざまな更年期症状が現れるようになります
エストロゲンはコラーゲンの生成にも関わっているので肌つやが悪くなったり、育毛発毛の力も衰えたり、手足のこわばりや関節痛、泌尿器系の不調が起きることがあります。
生活習慣病・骨粗鬆症・認知症のリスクが上がる
閉経した後に続く長い人生では、特に「骨」「血管」「脳」に関するリスクが高まっていきます。悪玉コレステロールの値が高くなり、血管の老化が進み、動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。
しかも、エストロゲンは脳の認知機能にも影響しますから、物忘れがひどくなり認知症のリスクが高まります。
エストロゲンの減少は骨密度の低下や骨質の劣化を招きます。その結果、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になりやすくなり、骨折の危険性が高まります
また、更年期症状と思っていたら、「病気」だったということもあります。50歳は人生の折り返し地点、体のガードが弱くなる年齢になったと捉え直して、乳がん、卵巣がんなど女性特有の病気や、女性のがんのなかで死亡数が多い大腸がん、症状が更年期症状に似ている甲状腺疾患などのリスクにもしっかりと備えましょう。