健康づくりのコツは「運動」「食」「心の持ち方」
最後に、私(松村圭子医師)の経験を踏まえて、更年期以降の健康づくりのコツを簡単にお伝えしたいと思います。キーワードは「運動」と「食」そして「心の持ち方」です。
実は46歳の頃、疲労感、倦怠感に襲われる日々が続き、何を食べてもおいしくないという時期を経験しました。そこで外食中心の生活をやめて、一から栄養と料理を研究、女子栄養大学の通信教育で食生活指導士2級や、食生活アドバイザー2級を取得しました。以前は市販のカット野菜のサラダを食べて満足するくらいのレベルで、栄養の知識はあっても料理は大の苦手。でも、体の不調がきっかけで手作りの料理を楽しむようになり、いつの間にか倦怠感はすっかり消え、以来、更年期症状は全く出なくなりました。その経験は今、診療にも役立っています。
更年期以降、70代80代になっても心掛けてほしいことは、骨や血管を意識した食事・運動です。ウォーキングで骨に刺激を与え、太陽を浴びてビタミンDを作り、たんぱく質、カルシウムをしっかり摂りましょう。健康寿命を延ばすためにも大事です。
更年期には理由もなく悲しくなったり、落ち込んだりしがちです。そういうときは自分の好きなことに打ち込むことをおすすめします。好きな歌手を応援したり、いろいろな資格を取ったり、ワクワクしながら楽しめる、自分にとっての“ときめき”を探してみてはいかがでしょう。
本文完
(広告の後にも続きます)
50歳前後の女性が気を付けたい病気リスト12
それぞれの病気について、病気の解説や対策、治療法について掲載しています。気になる病気について、より詳しくチェックしてみてください。
動脈硬化
動脈の血管が硬くなって弾力が失われた状態を動脈硬化といいます。加齢や血液中の脂質の異常、肥満、運動不足、喫煙、ストレスなどが原因といわれます。動脈硬化が進行すると心筋梗塞や脳血管障害のリスクが高まります。LDL(悪玉)コレステロールや血圧を適切に管理し、食生活を始めとした生活習慣の改善に努めましょう。
詳しくは>>「動脈硬化」を予防する、食事のポイントとは?
認知症
認知症とは「正常な精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」のこと。記憶障害のほか、判断力の低下や言語障害なども起こります。予防には日頃から脳に刺激を与え、食事からは認知機能対策に効果的なDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、大豆製品を積極的に摂るなどの工夫が必要です。
詳しくは>>50代からの認知症予防!ボケ防止のためにできること
骨粗鬆症
骨がもろくなり、骨折しやすくなる骨粗鬆症は、閉経による女性ホルモンの減少で発症しやすくなります。予防には自分の体重で骨に刺激を与える“垂直かかと落とし”などの運動を続けましょう。食事からは、骨の健康に不可欠なタンパク質やカルシウム、ビタミンDをバランスよく摂ることが大切です。
詳しくは>>骨粗鬆症を予防!骨の健康度チェックと日常生活の対策
卵巣がん
卵巣がんは初期には自覚症状がなく、発病後、だいぶ経過して腫瘍が大きくなったり、腹水が溜まるなどの症状で気付くことがほとんどです。病状の進行が速く、約半数はIII期(リンパ節へ転移)・IV期(他臓器へ転移)の状態で発見されるため、サイレントキラーとも呼ばれます。卵巣がんが疑われる場合は、エコーやMRIなど画像検査での確認が必要になります。
子宮体がん(子宮内膜がん)
子宮体がんは、子宮の内側の子宮内膜から発生するがんです。50~60歳代に最も多くみられます。閉経期・閉経後にだらだらとした出血が続くケースは体がんの可能性があります。出血が続いたら、早めに婦人科を受診しましょう。
子宮頸がん
子宮頸部に発生する頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が発病の引き金になります。25~34歳の女性では乳がんに次いで罹患率が高いとされていますが、進行がんは60歳代以降で多くなります。年に1度は必ず検診を受けましょう。
詳しくは>>子宮頸がんとは?症状やセルフチェック・検診について
子宮筋腫
子宮筋腫はこぶし大以下の大きさで症状がなければ、治療は必要としません。しかし大きいもの、増大傾向がみられるもの、症状を伴い生活に支障が出る場合には婦人科専門機関での治療が必要になります。
詳しくは>>貧血・過多月経なら要注意!子宮筋腫はどんな病気?
乳がん
乳がんは婦人科ではなく、外科、乳腺外科で診療が行われる病気です。乳腺に発生し、女性の罹患率が最も高いがんです。早期には自覚症状はほとんどありません。進行とともに、乳房のしこりや痛み、乳頭からの分泌物などの症状が現れます。40代以降で罹患率が高くなり、最も多い年代は60代です。
詳しくは>>乳がんはどんな病気?高リスクな人の危険度チェックも
大腸がん
大腸がんは、日本人女性のがん死亡数の1位のがんですが、実は「早く見つけたら治るがんの筆頭格」。死亡数が多い要因には、女性の大腸がん検診の受診率が低いことが挙げられます。よく『便に血が混じったのは痔のせい』と自己判断する人がいますが、出血の原因を知るには検査が必要です。
詳しくは>>50代女性が知っておきたい!大腸がんのリスクと予防
甲状腺疾患
甲状腺の病気には、血液中の甲状腺ホルモンが、過剰に分泌される“甲状腺機能亢進症(代表的な疾患がバセドウ病)”と、減少する“甲状腺機能低下症(主に橋本病)”があります。この両者は自己免疫疾患の仲間で、ともに多彩な症状が出るため、更年期障害をはじめ、うつや認知症などと間違われやすいので要注意。甲状腺ホルモン検査で簡単にわかります。
詳しくは>>他の病気と間違えやすい「甲状腺の病気」に注意
関節リウマチ
更年期には関節の痛みが起こることがよくあります。この場合、自己免疫疾患の関節リウマチが原因の可能性があり、起床時に手足のこわばりが長く続き、関節の痛みや腫れの程度が強いときは検査が必要です。日本では人口の0.5~1%がかかる比較的頻度の高い全身性免疫疾患で、男女比は1:3~4の、女性に多い病気です。
詳しくは>>関節リウマチとはどんな病気?症状と日常生活のケア法
メニエール病
更年期症状のめまいは、体がふわふわと浮いたような感じになるタイプが多いです。しかし、天井がぐるぐる回るような回転性のめまいは、耳鼻科系のメニエール病が原因かもしれません。めまいに頭痛が加わる場合は、まれに脳神経系の異常の場合があります。めまいが頻繁に起こるときは専門医を受診しましょう。
詳しくは>>激しいめまいと難聴を起こすメニエール病【医師監修】