刻一刻と世界が変化し続ける中で、これからの時代を生き抜いていくためには「先を見通す力=先見力」が必要不可欠です。そして、先見力とは、何に「投資」をするかを長期的に考えること、それも長期的な視点を持つことだと話すのは、公認会計士の金川顕教氏です。そこで本稿では、公認会計士である金川顕教氏による著書『公認会計士が教える「資産づくり」を勝ち抜くための11の戦略』(ポプラ社)から一部抜粋し、「先見力」の身につけ方と注目すべき企業について解説します。

過去から未来の変化を読み解く

例えばタクシーの初乗りの価格は、昭和初頭には1円だったのが、今は都内では500円になっています。同様に銭湯は、もともと6円だったのが、現在は520円です。はがきの価格も2円から63円になりました。

では、今後の日本はどうなっていくのでしょうか。例えば電子マネーの決済がどれくらい増えているのか、クレカの支払いは、どれくらいの割合なのか。

5年前、10年前のデータと見比べることで、ある程度の予測を立てることはできるでしょう。

モノやサービスの価格、税金、給料、生涯年収……。例えば大企業の退職金は年に2.5%ずつ下がってきていますから、100歳まで生きるとなった時に、老後にお金がどれくらい必要なのか。

それだけではありません。結婚するとしたら、結婚式や新婚旅行、新居費用にいくらかかるのか。子どもは何人欲しいのか。学費はいくらか。親が病気になった時に、何か手当があるのかどうか……。常に長期的な視点を持っていることが必要です。

そのためには、過去のデータを見ることが、先見力をつける手助けをしてくれます。

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若い世代のために、僕らができること

先見力で、欠かせないものは、「若い世代、自分の将来の子どもや孫、後継者のために」という視点です。

結局、「自分のため」という人は、今を楽しむことに精一杯で長期的な視点が身に付きにくいのです。たとえ今、結婚するつもりがなかったとしても、10年後、20年後、結婚するかもしれません。しかし、そういう発想がなければ、資産形成もできないし、先見力も身に付かないし、結果も出ません。

億万長者を調査した本を読んだことがありましたが、億万長者には、独身者は少なく、しかも婚姻している人たちの結婚生活はおしなべて長いというデータがありました。これは当たり前だと思います。

もちろん、結婚が人生のすべてではないので、結婚しなくてもかまいません。しかし、自分が遊びたいから年収1,000万円を稼ぎたいという人よりも、「日本のため」「社会のため」「人類のため」「世界平和のため」と、自分以外の誰かのため、未来の子どもたちのためにビジネスをしたほうが、圧倒的に成果が出せます。

なぜなら、後者のように、将来の子どものために、業界への恩返しのために、社会のために、日本のために、という人のほうが周囲からも応援されやすく、大きな仕事ができるからです。