国内を見るのではなく、国際基準で考える

将来を予測するのは、なかなか難しいことです。だからこそ、AIの勉強をする、ネットの勉強をする、デジタルの勉強をする、株価のチャートを見るなどといった行動を通して、先見力を養うことが大切です。

そこで、先見力を養う時に、基準となるのは国内ではなく、国際基準です。例えば、消費税を見ると、ヨーロッパの国の多くは大体が20%台です。日本は、現在、その半分の10%です。今後、消費税の引き下げをすることはないでしょうから、徐々に20%に近づいていくでしょう。

一方で、法人税、所得税、贈与税、相続税といった直接税は、日本はとても高い税率です。4,000万円以上の収入があっても、全国一律の住民税10%に加えて、超過累進税率で所得税が45%。

例えば年収が1億円の場合、日本ではそのうち、5,500万円を住民税・所得税として払わないといけません。すると手元に4,500万円しか残りません。しかし、シンガポールは住民税がなく、所得税も24%です。

ですから、もし年収1億円の人がシンガポールに住めば、税金は2,400万円ですから7,600万円が残り、日本の4,500万円と比べると3,100万円、毎年貯金を増やせるわけです。

今後、経済はグローバリズムにより、どんどん国際的な標準に各国が合わせていくことでしょう。政治も同様なので、消費税も上がるはずです。

このように、先見性を持つためには、日本国内だけを見るのではなく、海外の状況と比べることも大切です。

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先見力を身につけたいなら「GAFA」に注目すべきワケ

世界を知るということは非常に重要だとお話ししましたが、僕は先見力を語る上で、Amazonというのは、外せないキーワードだと思っています。特にビジネスに関わっている人は、先見力を養うためには、Amazonの動きに注目しておくことをおすすめします。

例えば今、ドローンが、研究、調査、撮影などに使われていますが、Amazonは、本国ではすでに、購入した商品を、配達員が届けてくれるのではなく、ドローンが運び、ベランダに置いたり、家の前まで届ける時代になっています。

また、本国アメリカを中心にAmazon GOというコンビニのような形態のショップを展開していますが、この店の特徴は、店員さんがいないことです。

この店に入るとAmazonのアカウントで認証され、商品を持って外に出たら、そこで決済がなされるという仕組みになっています。ICカードやクレジットカードで払ったり、携帯の電子マネーをかざす必要もありません。

さらに陳列によるプロモーションや、仕入管理や在庫管理も、コンビニの中に設置したセンサーやカメラで行い、こういう若い人はこういう商品を買う傾向があるというように、すべてデータ化しています。そして、店舗ごとに違う商品を仕入れたりするわけです。

海外のスーパーなどは、現在どんどんAmazon GOのようになっています。スーパーは地域性が強いので、在庫管理は非常に重要です。1カ月の購買データを、顔と名前とポイントカードで認証できれば、この人はこれを買う傾向にあるというように、仕入れも無駄なくできるようになるのです。

Amazonは1995年から営業を開始して、株価は上場してから約1,000倍になっています。10万円分を買っていたら1億円以上になっているような、それぐらい伸びている会社です。

先見力をつけるためには、GAFA=グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェイスブック(Facebook、現Meta)、アマゾン(Amazon)といった企業を、しっかり理解して研究することが、非常に重要だと考えています。

金川 顕教

公認会計士

※本記事は『公認会計士が教える「資産づくり」を勝ち抜くための11の戦略』(ポプラ社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。