LINEで友人と険悪な仲に…50代女性の悩みに住職・名取芳彦さんがアドバイス

「つかず離れず」でいれば元の関係に戻る可能性も

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みかちいさんは、Aさんとの関係をどうにかしたいと思って、悩んでいらっしゃいますが、人は他人のことを1日に10分間以上考え続けることはほぼありません。他にやることがたくさんあるからです。

Aさんも、みかちいさんのことを1日に10分以上気にすることはないでしょう。ですから、Aさんに対してそれほど気を使わなくていいと思います。

これが「つかず離れず」「来るもの拒まず、去る者負わず」というサッパリした人間関係の極意でしょう。

縁(集まってくる条件)によって結果は変わります。これが“諸行無常”の大原則です。

みかちいさんもAさんも、日々生きて多くを経験するという縁が加わり続けていきますから、今の状態(関係)のまま過ごしていくわけではありません。今回の出来事で溝を感じる状態になったように、今のギクシャクした関係も次の縁が加わることで元に戻るかもしれません。

4人のLINE仲間も、2人の間に起きたトラブルを糧にして、それぞれ自分の心を成長させ、深みを増さないともったいないと思います。みかちいさんも、「転んだらただでは起きない」といった覚悟をしてみてはいかがでしょう。

最後に、「悪い印象に取られてしまうのは、その友人との信頼関係の問題なのか。悪く取られるなら、その程度の仲と割り切っていいものか」についてです。

信頼は一日でできるものではなく、長い時間をかけて作られます。

しかし、信頼関係はとても脆弱です。たったひと言、一つの行動が、それまで時間をかけて築き上げた信頼関係を、いとも簡単に壊します。

ですから、今のところは「その程度の仲だった」と割りきっていいと思います。

10年ほどの歴史しかないLINEのやりとりでの齟齬は、これからもたくさん起きるでしょう。そこから、私たちは何を学んでいくのでしょう。

5年後には「LINE使いの達人」になりたいものですね。

回答者プロフィール:名取芳彦さん

なとり・ほうげん 1958(昭和33)年、東京都生まれ。元結不動・密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所研究員。豊山流大師講(ご詠歌)詠匠。写仏、ご詠歌、法話・読経、講演などを通し幅広い布教活動を行う。日常を仏教で“加減乗除”する切り口は好評。『感性をみがく練習』(幻冬舎刊)『心が晴れる智恵』(清流出版)など、著書多数。