こんにちは。FP(ファイナンシャルプランナー)の白浜です。
今回は、申請しなければ恩恵が受けられない、税金が戻ってくる控除やお金がもらえる給付金などの制度について紹介します。

収入がある人は、基本的に納税の義務があります。就業者のうち会社勤めのサラリーマンが9割を占める日本では、職場が計算し納税の手続きをしてくれるため、自分で特別な手間をかけずに自動的に税金を納めています。一方で、税金の還付・控除については、生命保険料控除のような一定のものは職場で年末調整ができますが、なかには自分で手続きをしなければ節税の恩恵を受けられないものもあります。今回は、節税につながる制度について要件や具体的な手続き方法などを見ていきましょう。

医療費が10万円超えたら申請できる「医療費控除」


患者と医者たち
【画像出典元】「iStock.com/fstop123」

1年間の医療費が一定の負担を超えた場合に受けられる控除です。一定の負担とは、かかった医療費から、民間の医療保険などに入っている場合はその給付金(入院給付金、手術給付金など)を差し引いた金額が10万円を超えている場合に申告できます。給付金には、出産時に健康保険から給付される出産一時金なども含まれるので注意が必要です。リビングなど誰もが目につくところに箱を用意して医療費の領収書を集めておくと、年末にあちこちからかき集める手間が省け集計が楽にできます。配偶者控除や扶養控除と同じように税金の軽減につながるものなので該当する人は忘れずに申告しましょう。

<医療費控除の金額>
実際に支払った医療費の合計-保険金などで補填(ほてん)される金額(※1)-10万円(※2)

(※1)給付の目的となった医療費からのみ差し引きます。引ききれない金額が生じた場合も他の医療費からは差し引きません。
(※2)その年の総所得金額などが200万円未満の人は、総所得金額などの5%の金額
(※3)医療費控除は最高200万円まで受けられます。

ここでいう医療費とは、医師や歯科医師による診療や治療の対価だけでなく薬局で買った風邪薬、また、交通費なども対象になります。ただ、ビタミン剤のような健康増進剤や美容のための歯の矯正費用などは対象外となるなどのルールがあるので、詳細は国税庁のHPで確認しましょう。

医療費控除の対象となる医療費(国税庁HPより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm

確定申告が不慣れという人も安心してください。確定申告作成コーナーという国税庁のHPから順番に入力するだけで簡単に作成できるようになっています。通常、確定申告は2月16日から3月15日までですが、このような還付は、年明けすぐから申告できます。もし期限を過ぎてしまっても5年間の猶予期間がありますよ。

確定申告作成コーナー(国税庁HPより)
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei.htm

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薬局で買った薬も控除対象に!「セルフメディケーション税制」

医療費控除の10万円超えという要件をハードルが高いと感じる人もいるでしょう。実は、医療費に関する控除はもうひとつあります。それはセルフメディケーション税制です。この制度は、医療費控除の変化形で、予防注射や健康診断を受けるなど健康管理をしている人が、薬局で風邪薬などの医薬品を年間1万2000円超利用した場合に税金が安くなる仕組みです(控除できる額は最高8万8000円まで)。医療費控除との選択利用となり、確定申告が必要です。この制度は、高齢化による医療費をはじめとした社会保障費の抑制につなげる施策です。ちょっとした風邪くらいなら薬局の薬で治しているという人も少なくないでしょうから、医療費控除とともに利用を検討するといいでしょう。

なお、対象となる医薬品は、指定された成分が含まれるスイッチOTC薬として認められたものです。具体的には風邪薬のルルやパブロン、胃薬のガスター10などなじみのある医薬品です。ルルシリーズでも対象外のものもあります。薬箱に「セルフメディケーション税控除対象」と表示が入っていますが、分からないときには薬剤師に聞くといいでしょう。ちなみに厚生労働省のHPでも確認できます。

セルフメディケーション税制対象医薬品 品目一覧(厚生労働省HPより)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000206165.pdf