金融機関は、破綻した場合に備え「セーフティネット」が設定されています。しかし、状況によっては保護の対象外となる場合も。では、例えば「住宅ローン」を組んでいる場合、残債や担保はどうなるのか? 今回は、ファイナンシャルプランナーの中山国秀氏が、保険会社・銀行が破綻した際の金融商品における注意点について、詳しく解説します。

保険会社が「破綻」したら、どうなる?

保険会社が破綻した場合、加入契約者の保険契約はセーフティネットの存在によって守られます。原則、保険契約は“継続”となるのです。

保険契約は、一時の利益のために加入するというより、今日・明日の不測の事態に備え、かつ中長期から将来までの出来事を見据えて加入しているものです。もし、破綻と同時に解約や返金となった場合は、本来の利益が守られなくなります。

破綻した生命保険会社の契約を引き継ぐ救済保険会社が現れた場合、保険契約はすべて救済保険会社に移行となります。

仮に救済保険会社が現れなかった場合は、保険契約者保護機構または、同機構が運営する子会社が保険を引き継ぐルールとなっています。

ただ、保険契約が救済保険会社などに移行後、一定期間が経つ前に解約した場合は本来の解約返戻金から減ることがあります。

保険会社が破綻したからといって、慌てて解約しないことが大切です。

生命保険の場合

“死亡保険”や“医療保険”など、人の生存、または死亡に関して保険金が支払われる生命保険の場合は、「生命保険契約者保護機構」がセーフティネットとなります。ちなみに、偶然生じたことによる損害に対して、保険金が支払われる損害保険の場合は損害保険契約者保護機構が加入者を保護する形となります。日本国内で営業する生命保険会社・損害保険会社は、保険種類に応じて原則保険契約者保護機構への加入が義務付けられています。

注意点として、少額短期保険業者は保険会社に該当せず補償・保護の対象外となるケースがあります。

保険契約は会社の破綻後も続きますが、責任準備金の削減が実施されることがあります。

多くの場合、破綻時の責任準備金の90%までが補償されます。

責任準備金…生命保険会社が、将来の保険金や年金などの支払いに備えて準備しているお金のことをいいます。責任準備金が削減されることにより、保険契約の予定利率の引き下げなど条件変更が行われることもあります。

ただ、保険金や年金などで加入者に支払われる金額の90%が補償されているわけではありません
 

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銀行が破綻した場合は?

住宅ローンはどうなる?

では、銀行が破綻した場合、住宅ローンはどうなるのでしょうか?

銀行が住宅ローン獲得のため、どちらも“低金利”をアピールしている現状ですね。住宅ローンの金利自体、各銀行で自由に設定できるため、他行より低金利を打ち出そうと躍起になっているのが現実です。

ローン残額はどうなる?

銀行が破綻しても、住宅ローンには期限の利益があります。

一部の例外を除き住宅ローンは、そのまま引受銀行に引き継がれることとなります。破綻したからといって完済を迫られることはないのです。

「期限の利益」とは?

期限が来るまで確保されている利益のことを指します。住宅ローンの場合、通常通りの返済をしているのであれば、最終返済期限まで銀行から一括返済を迫られることはありません。

住宅ローンは融資という契約であり、銀行との約束事などを決めた規定書(ルールブックといった意味)があります。

こうした規定に銀行が破綻した場合、一部あるいは全額返済することになっているといった条項はありません。これは期限の利益があるためです。

注意点として、通常通り返済ができていない場合は例外です。一部の例外を除きとお伝えしたのはこのことです。

長期間にわたり、返済を延滞している人のローンの場合、銀行が破綻すると他の方々と同じように引受銀行が引き受けてくれない可能性もあるので、注意が必要です。

銀行が破綻した場合、引受銀行において引受対象の債権(住宅ローン・事業資金融資など)をすべて引き受ける義務はないため、引受銀行の判断で取捨選択することとなります。表現としては、まともな融資(正常債権)は引き受けるが、不良債権は不要と主張可能なのです。もちろん、すべて引受銀行の希望通りになるとは限りません。実際、破綻銀行側や監督官庁などでも調整されることになります。

原則として不良債権や、返済が遅れがちな融資は引受銀行が拒否し、債権回収会社(サービサーなどと呼ばれる)に譲渡される場合もあります。

したがって、返済が遅れている住宅ローンは銀行破綻の場合、他の銀行でなく回収会社に移されてしまう可能性もある点は、要注意です。