文具のとびら編集部

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、手帳と一緒に使っている文房具を紹介してもらいました。

第1回目は、他故さんが紹介する「算数定規」です。

(写真左からきだてさん、高畑編集長、他故さん)*2024年8月17日撮影
*鼎談は2024年9月30日にリモートで行われました。

手帳にはさんで持ち運ぶ薄型定規

――次は他故さんですね。

【他故】手帳に使うと便利っていうか、私が買って便利だっていうだけの話なんですけども。文具王と同じ大きさのB7の「EDiT」を2年使っていて。で、他の方がどうかはちょっと分かんないんですけど、これって1日1ページのノートなんですよね。

【高畑】そうだね。

【他故】僕の場合、「何時に寝て何時に起きたか」っていう記録を一番大切にしているんですよ。要するに、睡眠時間が固定されているかというのを記録したくて、24時間バーチカルずっと使ってたので。これは 24 時間はないんだけども、朝の 4 時から夜の 1 時まで書けるから、カバーはできるっていう使い方になってるんですね。それでこの間に、「何時から」とか「何時だった」というときに直線を引きたいんですよ。ここからここまでっていう。それを絶対にフリーハンドではやりたくない。

【きだて】直線のフリーハンドはやだよね。

【他故】自分のフリーハンドの線が大嫌いなので、絶対定規で引きたい。

【きだて】ははは(笑)。

【他故】ついこの間までずっと移動文具を背中に背負ってたので、これをポンと入れられるだけの厚さのボックスが上に乗っかってたから、そこに合う大きさっていって、この小っちゃい定規を買ってた。ちょうどこのままポンっと入るので、一緒に入れちゃえばセットでできるよってことでずっと持ち歩いてたんだけど、このサイズが好きだっていっていろんなとこ行くたびに買ってるんですけど。

【きだて】なんか話を聞く度に、買ってるなとは思ってた(笑)。

【他故】結構溜まっちゃうので。今の結構な量の定規をそこら中に入れておいたり、机の上に置いといたりとかでかなり使ってるんだけども。

【高畑】そんなに要るか(笑)。

【他故】今年、通勤時にゲリラ豪雨に死ぬほどやられて、ちょっと移動文具って大きいので、濡れやすいんですわ。防水も謳ってないので、ちょっと心配なところがあって、カバーもかけたりもしたんだけど、それが面倒くさくて一応撥水が効くバックに変えたんですね。そうすると、これの居場所がなくなっちゃった。ポンと入れちゃうようになっちゃったから、居場所がないじゃんていうので、じゃあ手帳に一緒に挟んでおけばいいじゃないっていう風に最初思っていたんだけど、これ小っちゃい定規も思ったより分厚くて挟むとすごくいびつになることが分かった。

【きだて】あと抜けるよね。

【他故】そう。すごく気持ちが悪くって。それで、定規って意外と厚さがバラバラだなというのが分かって、また色々買い溜めて調べたりしているうちに、ようやくベストなやつを見つけたんですよ。

【きだて】おお、聞きましょう。

【他故】それが、クツワが出してる「算数定規」っていう学習用の10㎝の定規。

「算数定規」(10㎝)

【他故】これの何がいいかっていうと、厚さが1㎜しかないんですよ。普通の定規って厚さが2㎜ぐらいあって、頑張っても1.5とか1.7とかなんだけど、これはめっちゃ薄い。だから、挟むとほぼ違和感なく邪魔にならずに入るっていうのがこれで分かって、今ものすごく愛用してるんですよ。この厚さが出るやつって、実は手帳用の鉄の定規で「しおりになりますよ」っていうやつが結構たくさんあって、いろんなメーカーから出ているんだけども、僕は透明の定規じゃないと線が引けないんですよ。

【高畑】うん。

【他故】別に、引くところの対象が隠れてるわけでもないのに、反対側が透明になってないっていうだけで、ちゃんと線が引けないんですよ。上手く説明できないんだけど。鉄だったり木だったり竹だったりというもので、正しい位置にここって決めたところで線が引けないの。

【きだて】多分、透明で透けてる目盛りまで使って水平というか、90°を出してるんだね。

【高畑】反対側も見ているんだよ。

【他故】そう、常に確認しないとダメっていうか。大抵上手くやったつもりでちゃんと引けてないということが多くて。確実に確認したいので、透明の定規しか使えないんですよ(苦笑)。

【きだて】それは分かるよ。

【他故】なので、いわゆるおしゃれ系の鉄っぽい定規とかは使えないので、いくつか探した中で、これが現状で一番薄いので愛用してます。こういうことを思いながら。学童用の定規を探してる人っていないんだろうと思うけど、ようやく探し求めたので、大変満足しています。

――普通にお店で探したんですか?

【他故】そうですね。触ってみないと分からなかったんで。スペックが書いてあるやつとないやつがあって、厚さってたまに書いてないこともあるんですよ。ちゃんと調べれば分かるかもしれないんですけど。

【きだて】定規のスペックとして、あんまり厚みは書いてないね。

【高畑】厚さをウリにしてることはあるというか、学童用の安価なやつはその辺はPETでできてるんだけど、

【他故】ああそうか。

【高畑】2㎜とか3㎜あるアクリル定規の方が、どっちかっていうと高いやつみたいな感じで。ペットでできてる定規は薄くて、全然それでも十分なんだけど。それで、斜めカットしてないやつでしょ?

【他故】これ確かにそう。ただの切りっぱなしみたいな。

【高畑】そこら辺がアクリルだと、斜めにカットできるんだけど、しないことが多いので、基本的にはただの四角く抜いただけなので、廉価版というか高級品ではないよっていう立ち位置だから、あえて薄いのをウリにしてないよね。

【他故】まあそうだろうね。でも、これが今非常にお気に入りで。不満があるとしたら、10cm のやつはこの薄さなんだけど、15とか17とかちょっと長くなると、もうこの薄いものは売ってないのね。同じブランドで同じ形でも。

【高畑】ペラペラになっちゃうから。

【他故】実は10cmだと足りないんですよ。上から下まで一発で引けないのよ。

【高畑】まあそうだね。

【他故】これは僕が勝手に思ってることで、不満っていうか、本当は12cm定規が欲しいなみたいな、そういう刻んだやつを欲しがるという(苦笑)。

【高畑】だから、他故さんも切れよ。

【きだて】でも、長い定規だと分厚くなってるわけでしょ。

【高畑】そうか、PETの定規で長いやつがないってことか。

【他故】いつも組み合わせとして、B7の手帳と「ジョッターペンケース」を一緒に持ち歩いているので、「ジョッターペンケース」に内蔵できる定規があったら、おそらく解決するんですよ。で、実は今試作品を作ってもらってます。


【きだて】おっ!

【他故】5×3カードの大きさの定規というのを試作しています。

【高畑】そこに印刷で数字を入れるの?

【他故】定規を入れるところまではまだ考えてない。多分、ものすごいコストになっちゃうので。まだ自分用だから、単にこれは5×3に切っただけなんだけども。これでどのくらい傷が付くかとか、そういうテストをしています。これだとB7のノートにちゃんと線が引けるので。

【高畑】目盛りで測れなくてもいいから、直線が引ければいいんだ。

【他故】僕の希望はあくまで直線が引きたいだけだから、今のところはここまでしか考えてない。

【高畑】でも、それで十分と言えば十分なんだね。

【他故】僕用はね。

【きだて】罫線に対して、目盛りを当てて傾いてないかとかの補正もしたいわけじゃないの?

【他故】理屈で行けばそうだけどね。ただ、たまたまこの「EDiT」の場合は、真ん中にちゃんとこれは5㎜かあるいは3㎜ぐらいのドットが引いてあるので、この点々をまたいでさえくれれば一直線に引けるんですよ。

【高畑】上から下まで点があるからね。

【他故】ガイドがある状態の手帳に使おうとしてるから、そこまで考えてない。

【高畑】俺は今、バンコの定規を使っているけど、10㎝の定規で厚みは確かにあるんだけど、一応上の点から下の点まで届くんだよね。

【他故】ギリギリの話なんだけどね。実際に他のメーカーのやつだと、10㎝っていっても、板の幅があるやつは届くんだけど、たまたま今僕が使ってる薄い10㎝定規はギリギリのやつで届かないってだけなんだよね。

【高畑】なるほどね。

【他故】理想通りになるのはなかなか難しいと思いながら、今そうやって自分の理想の手帳用定規みたいなものを探してるところです。

【高畑】そうやって、段々自作になってくるんだよ。「ちょうどいいあれがない」って。

【他故】ははは(笑)。

【きだて】クツワで10㎝と言いつつ11㎝のやつってなかったっけ? あれはどうなの、厚みとかは?

【他故】どれかな?

【きだて】「直線定規10㎝」とかいう名前なのに、目盛りは10までだけど、長さは11㎝あるやんっていう定規があったと思う。クツワの定規なんで0スタートで、数字は 10 までだけど11㎝分まで切ってあるという。

【高畑】定規とコンパスのセットのやつに入ってるよね。

【他故】ああ、そうそう。三角定規とかが一緒に入ってるやつね。

【高畑】そういうやつの安いのを買うと、薄い定規が入っているかもしれないので、割といいかもしれない。

【きだて】サイトでさっきの定規を見つけたけど、これはどう?

【他故】これは手元にある。結構分厚い。1.7ぐらいある。

【きだて】そんなに厚いか。

【他故】これはかなり丈夫。元々、僕が考えてること自体がメーカーの想定を超えてると思うので、そんなに上手くいくわけないんだけど(苦笑)。

【きだて】ははは(笑)。

【他故】まあ、だからこそこうやってわざわざ樹脂のメーカーさんにお願いして自作で作ってもらってるわけだけどね。

【高畑】樹脂のメーカーにお願いして試作を作るって、結構気合入ってんじゃん。

【他故】田中孝商店の化成品事業部さんにお願いしてるんですよ。

【高畑】それは最終的には販売とかを考えてるとか?

【他故】いや、僕が「こういうのが欲しいです」って言ったら、向こうもその技術を持っていないから是非試させてくださいって言って、今テストショットを作ってもらってるところなんだよね。

【高畑】それはラッキーだね。自分の思い通りのものを作るのは、結構ハードルが高いよ。

【他故】絶対そうだと思うよ。こっちとしても、テストショットって言いながら実用品が手元に来て、僕自身はこれで満足は満足なんだけど、ただここから先ちゃんとしたものを作るんだったらどうしようみたいなのは話ししなきゃいけないかなって気はしてるけどね。

【高畑】昔の安っぽい定規がいいね。ペロンってしてて、割と昔のは薄くていい感じだね。

【他故】なので、子ども用の一番最初のファースト三角定規セットみたいなね、そういうのがすごくいいんだけど。

【高畑】あとは、テンプレだから何だか分わかんないみたいなやつは、厚さが1㎜切るやつもあるよ。

【他故】テンプレートはあるね。

【高畑】テンプレで、ノートのサイズを超えないやつはいけるんじゃない?

【きだて】一昔前に、大同紙工がクリアホルダーを切り抜いて定規になるみたいなやつを出してたじゃない。

【他故】あったね。

【きだて】あれなら薄くていいんじゃね?

【高畑】ちょっと薄すぎて、ペロペロンだからさ。

【きだて】でも、線を引くくらいはできるだろう。

【高畑】まあ、そうだろう。

【他故】ただね、専用のかたちではないけど、さっきB7とM5はほぼ同じって言ったじゃん。M5用のリフター定規はあるわけですよ。穴が開いて着けられるやつは。

【高畑】だから、それの穴の部分だけカットしちゃえばいい。

【他故】代用できないわけじゃないんだけど、っていうのを含めて、今いろいろと探してるところだね。なので、どっちにしても僕は定規が要るし、手帳に直線を引きたい人は定規を持ってた方がいいよっていう、それだけなんですけど。

【高畑】まあでも、僕は逆に手帳がちょっと膨れるっていうのをあまり気にしないことができる人なので、わりと僕はこのまま入れてたりする。だって、ここに手帳をなくさないためのスマートタグとか入ってる時点でもう膨れているから。

【他故】本当だ。

【高畑】だって、手帳にシールをたくさん貼る人がいるじゃん。それで倍くらいの厚さになってるじゃん。

【他故】厚くなるのが好きな人はいいんだよな。

【高畑】他故さんは、基本何も貼ったりはしないのかな?

【他故】なくはないけど、「EDiT」B7については何もしてないよ。

【高畑】ずれるのが嫌いだと確かにそうだね。

【他故】できれば、この美しい箱の形を保って 1 年間何とかしたいと思ってる方だね。どっちかっていうと。

【高畑】なるほど。僕は、いわゆるバーチカルタイプの使い方をしてないんだよね。で、見出しをでっかく書いて、今日何があったっていうのを大きく書きたいっていうのがあって。だから、大見出しと細々したことが書いてある。「今日のトピックは何」みたいな感じにしているので。割とそこは大雑把。でもね、後ろはやっぱり定規引くわ。どこの店へ行ったとか、読んだ本とかさ、何かそういう系のやつは縦に線を引いて書くので、そこはまっすぐ引きたい。なので、気持ちは非常に分かる。僕は、10㎝定規を使い出したのは中学ぐらいの頃からなんだよね。数式でルートがやたら長いとかあるんだよね。分数の真ん中の線がすごい長いとか。そういうのがいっぱいあるので、そういうの書くのにはもうこの長さで十分っていうのがあって、僕はノート書くときに割と使ってたね。

【他故】はいはい。

【高畑】昔流行ったんだけどさ、定規を置いて文字を書くと下の線が揃うじゃん。

【他故】ああ、流行ったね。

【高畑】下が一直線に揃ってる文字。

【他故】建築やったりとか製図やったりする人ってそういう書き方をする人結構いなかった?

【高畑】いるいる。だから僕は中高生の時に、0.3とか0.4㎜とかのシャーペンと定規でカチカチ書くみたいのが好きだった。あの頃から本当に10cmの定規が好きでずっと使ってる。俺はバンコが多いけどね。線をまっすぐ引きたいというのはすごいよく分かる。確かに、薄いのがあるといいよ。

【他故】まあ、「薄いのがあるといいよ」っていう、それだけです(笑)。

――他故さんも、一応今のところはベストだけども、他にもっといいものあるか探してるわけですね。

【他故】もしかしたらあるかもしれないので、色々と見ようと思いますし、まああんまり買っちゃうとね、めちゃめちゃ増えるだけなので。

【高畑】いや、あんまり買っちゃうと(苦笑)。

【きだて】もう今更だよ(笑)。

【他故】「もういいかな」みたいな感じはありますが、探すつもりはあります。

【きだて】だから、キリがないよ(苦笑)。

*次回は高畑編集長が紹介する手帳用スタンプです

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