カルティエはヨーロッパ文化遺産の日(9月21日、22日)の一環として、パリ9区にあるカルティエ ジュエリー インスティチュートを特別に一般公開した。今年で3年目となるこの企画では、事前予約をした一般客に加え、フランス教育省との共同プロジェクトによる学校やその他の団体を受け入れ、インスティチュートがある18世紀に建てられた美しい建物の中で、カルティエの卓越した職人技術とサヴォアフェールを発見する貴重な見学ツアーを行った。
石の世界を明らかにする見学ツアー
このインスティチュートは「保存」「教育」「伝承」を目的として2002年に設立され、毎年フランス国内で活躍する340人の職人のうち150人のジュエリー職人が活動する場となっている。
このイベントのために特別に企画された見学ツアーは、インスティチュートの3階にわたって展開された。まず1階では宝石からデザイン、製造に至るジュエリーピースの創作プロセスをたどる。石留めの専門職人であるセッター、宝石研磨師、真珠の糸通し、動物モチーフのワックスカービングなど、それぞれの職人たちと会話をしながら、彼らが使用する道具や技術、スキルを目の当たりにする機会を得た。
2階のエリアでは、石に特化した世界が繰り広げられ、カルティエが設けた最も厳しい品質基準をクリアするため、宝石鑑定士のミクロな視点でダイヤモンドの選別作業が行われる現場を公開した。またカルティエが得意とするカラーストーンの素材サンプル、グリプティックストーン(宝石彫刻)など、カットにより様々な色のグラデーションが展開される石の世界で、参加者を魅了した。
3階では、来場者が実際に作業台に座り、インスティチュートのインストラクターの指導をうけながら、実際にダイヤモンドのセッティングを体験するというぜいたくな企画で締めくくられた。
カルティエはパリや地方の学校との強固な連携を維持し、2023年には30人の研修生と20人の見習いを受け入れるなど、次世代のジュエラーの育成にも力を注いでいる。
来場者たちにとって、カルティエが重要視しているジュエリー職人の技術の促進とその伝承、未来の才能を育むための取り組みを知るきっかけとなり、優れた作品の創造を支える職人技の発展に惜しみなく投資をするメゾンの姿勢に、ハイジュエリーの文化をリードするカルティエの強い意志を感じた。
text: Keiko Suyama
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