老舗シャンパーニュメゾン「クリュッグ」の6代目当主オリヴィエ・クリュッグ氏がこの10月に来日。新たなキュヴェと、今年10周年を迎えた「クリュッグ × 単一食材」のプログラムについて語ってくれた。単一食材を通して見えてくるクリュッグの深い魅力とは?
芳醇にして繊細な味わいで“シャンパーニュの最高峰”と称されるのが1843年創業の「クリュッグ」だ。創業者ヨーゼフ・クリュッグ氏の「どんな気候にも左右されず、最高品質のシャンパーニュを毎年世に送り出す」という哲学のもと、『クリュッグ グランド・キュヴェ』を毎年世に送り出している。複数の年、複数の畑の区画ごとのキュヴェを120種類以上使用、そのブレンディングの妙味は“オーケストラの美しきシンフォニー”にも例えられる。
6代目当主のオリヴィエ・クリュッグ氏はこう語る。
「クリュッグ グランド・キュヴェは、ヨーゼフの“夢”でした。『クリュッグ グランド・キュヴェ 172 エディション』は、この夢のスタート時から172番目のキュヴェに当たります。2016年収穫のブドウをベースに、11年間の異なる年の146種類のキュヴェをブレンドしています」
その味わいは複雑かつ優美。果実のふくよかさ、酸の美しさはもちろんのことながら、味わいには奥行きとまろやかさが感じられる。
「2016年は天候の振れ幅が非常に大きな年でした。春には雨が続きましたが、開花期以降は穏やかな天候に恵まれました。成熟期の終わりには熱波に見舞われたものの、収穫期には健全なブドウを収穫することができました」
また、オリヴィエ氏は『クリュッグ ロゼ 28 エディション』についても語ってくれた。
「ロゼを造ることは、私の父で5代目のアンリ・クリュッグの夢でもありました。新しいポートフォリオを考えていましたが、クリュッグのロゼも最高のものでなくてはならない。父にとっては“夢であり悪夢”だったことでしょう(笑)」
実際に誕生したロゼは素晴らしいものだった。今年リリースされた『クリュッグ ロゼ 28 エディション』は、アンリ氏の夢のスタートから28番目のキュヴェとなる。バラを思わせる華やかな香りと美しい色合いが、グラスを手にする人の心を瞬時にとらえる。
そして、この『クリュッグ グランド・キュヴェ』と『クリュッグ ロゼ』の魅力をさらに際立たせているのが、2014年にスタートした「クリュッグ × 単一食材プログラム」だ。これは、「畑の区画の個性を最大限に生かす」という創業以来の哲学に基づき、食材を区画に見立てて“一つの食材に光を当てる”という、クリュッグならではのアイデアから生まれたもの。毎年単一の食材を選択し、そこから新たなペアリングの可能性を見いだそうという試みだ。過去にはレモンやキノコなどが単一食材として選ばれ、毎年“クリュッグアンバサダー”に任命された世界の有名シェフたちが『クリュッグ グランド・キュヴェ』『クリュッグ ロゼ』との特別な美食の世界を構築してきた。
今年選ばれた単一食材は“エディブルフラワー”で、「花の香りや苦味のアクセントなどがクリュッグと反応したらどうなるか、楽しみでした」とクリュッグ氏。
日本では、「オークラ東京」のシェフパティシエ青森昌之氏とのタッグも実現、「バーラウンジ スターライト」で10月1日からスタートした華やかなデザート「ローズをまとったクレームダンジュ」と「クリュッグ」のシャンパーニュとのペアリング体験が愛好家の注目を集めている。また、自宅でエディブルフラワーをあしらったサラダなどと合わせてみるのも一興だ。
『クリュッグ グランド・キュヴェ 172 エディション』と『クリュッグ ロゼ 28 エディション』は、また新たな美食の世界を楽しませてくれるに違いない。
text by Kimiko ANZAI
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