夏ではなく、あえて秋に開催…「季節外れの花火大会」が人気を集める意外なワケ

 夏の季語にも選ばれている花火は、日本の夏の風物詩。だが、全国には秋や冬に開催される花火大会も存在する。東京サマーランドの第二駐車場を観覧席として、約5000発を打ち上げる東京最大級の「秋川流域花火大会」も、寒い時期に多くの観客を魅了してきた。本大会を主催するまちづくりコンソーシアムの立花晋也理事長に、秋ならではの花火大会の魅力を聞いた。

◆東京サマーランドとの協力で実現した秋川流域花火大会

 2019年にスタートした秋川流域花火大会は、「秋の花火大会」として今年も11月16日に東京サマーランドの駐車場で開催される。

「ただ、最初から秋に開催するつもりはなくて。以前、東京サマーランドさんが開催していた夏の花火大会を復活させて、地域を盛り上げたいと東京サマーランドさんに相談したところ、『継続的に開催してくれるなら全面的に協力します』とありがたいお言葉をいただきました。

 それで大きな駐車場をお借りして花火大会を開催することになったのですが、ご存じの通り、東京サマーランドさんは夏場が最盛期です。営業の邪魔になってはいけませんから、比較的、駐車場をお借りしやすい閑散期に開催することになりました」

◆開催時期は秋川流域の魅力を伝えられる時期に

 春や冬ではなく、秋を選んだのにはもちろん理由がある。

「秋川流域の“秋”にかけました。この場所は東京都でありながら自然が豊かな地域です。バーベキュー場や川遊びなど、夏のアクティビティは盛んですが、秋も魅力的な観光地であることはあまり知られていません。

 秋には、紅葉も色付きとてもきれいですし、行政が運営する温泉施設や美味しい蕎麦屋さんなど、グルメスポットや観光スポットもたくさんあります。そこで、秋川流域、秋川、紅葉の秋を掛け合わせて毎年11月頃に開催しています」

◆空気が澄んだ寒い時期だからこそ得られる感動

 秋や冬に開催される花火大会には、夏の花火大会とは異なる感動が体験できるのが魅力とのこと。

「花火大会の観覧会場は、山と川の間に位置しています。ロケーションは最高ですし、花火は、夕暮れ時の紅葉の山をバックに打ち上がります。秋の空気はとても澄んでいるので、花火がいつもよりキレイに見えやすいですよ」

 秋ならではの味わいがある一方で、現地で観覧する際は注意点もある。

「昼間の気候は秋を感じられて気持ちがいいものの、夜はめちゃくちゃ寒いです……。秋川流域花火大会は今年から全席有料にしていて、高額のSS席にはストーブも用意していますが、ほかのグレードの席にはありません。

 会場に来られる場合は、厚着をしたうえで、ブランケットや使い捨てカイロなどを持参することを強くオススメします。防寒さえしていただければ、絶対に満足させる花火のストーリーを作っていますので、ぜひ期待してください」

◆秋の夜空に輝く花火をキレイに撮影するには?

 最後に、秋の花火大会で写真をキレイに撮影する方法を聞いた。

「これは私が専門家に聞いて実践している方法です。iPhone寄りの内容になってしまいますが、基本的な機能についてはAndroidでも同じように撮影できると思います。

 ISO感度は、低めの100~200に設定することで、花火以外の部分が暗くなり、コントラストが強調されます。シャッタースピードは、花火の軌跡を美しく撮影するために長めの1~2秒に設定しておきましょう。ホワイトバランスは、カメラのカメラの自動設定に任せてもいいですが、5000K前後に固定することで安定した色調を維持できます。

 また、露出設定は花火の明るさを考慮して、全体が白飛びしないように露出補正を-1~-2にしたほうがいい。ピントを合わせるために画面をタップすると、タップした場所の横に『太陽のアイコン』が表示されるので、これで調整してください」

 撮影モードや三脚を使用するのも、花火の撮影では有効だそう。

「花火の連続した打ち上げを撮影したい場合は、タイムラプスやモーションラプス機能を活用すると、ダイナミックな映像が撮影できます。iPhone 11以降では、暗い場所で自動的にナイトモードが有効になるのも便利です。

 ナイトモードがオンになると、iPhoneが自動的にシャッタースピードを遅くし、暗い場所でもより鮮やかに撮影できますよ。ちなみに、シャッタースピードが遅くなるときは、カメラのブレを防ぐために三脚を使うと、よりシャープな花火の軌跡を写真に残せますよ」