何かあるとすぐ泣く部下や後輩…ついイライラしてしまうかもしれません。泣いている相手は感情的になっていて、何を言っても伝わらないことが多く、対応に困るものです。研修講師として25万人以上にアンガーマネジメントを指導してきた戸田久実氏は、すぐになだめるのは禁物、かといって下手に厳しい言葉をかけるのも、事態をますます悪化させる原因になると話します。本記事では、戸田氏の著書『アンガーマネジメント大全』(日経ビジネス人文庫)をもとに、感情的な相手に振り回されず、建設的に対処するための方法を、アンガーマネジメントの視点から一部抜粋・編集して解説します。
すぐなだめるのは、禁物
Q:何かとすぐ泣く相手に、ほとほと嫌気がさしてしまいます。
A:相手が落ち着いてから話をしよう
すぐ泣く相手をなだめることは、クセになるので禁物です。ひと息ついてから話を再開させましょう。
すぐ泣く相手に「泣くな」と言っても、相手の感情はとめられません。声をかけることで、さらに泣く可能性もあります。なかには、泣くのをどうにもとめられない人もいるかもしれません。
こういった場合、こちらは冷静に「このままでは話にならないので、少し落ち着いてから話をしましょう」というように伝えるのがいいでしょう。大事な話をしているときに泣かれてしまうと、かなり気をつかいます。
女性に泣かれた場合、困惑してしまうという男性の声をよく耳にします。はたから見ると、弱い立場の人をいじめているような構図に見えてしまいますね。相手に泣かれると、それ以上のことを伝えられなくなってしまうものです。しかも泣いているとき、人は何を言われても話が頭に入らない状態になっています。
相手が泣きはじめたら、相手にわかってほしいことを伝えるためにも、「大事なことだから、落ち着いて聞いてほしい。涙がとまるまで待つか、5分後にもう一度話をしましょう」と、いったん時間を区切ってしまいましょう。
(広告の後にも続きます)
イライラを逆手にとる人も
泣くことを「これ以上わたしをいじめないで……」という防衛の手段にする人もいます。そんな相手の様子を見ていると、「うわ……また泣いた」「なんでこういうときにいつも泣くのかな!」「泣いても繰り返すくせに!」と、どんどん余計な怒りがわいてしまうでしょう。
「は? また泣くの?」「泣けばいいというものではないんだよね」とつい言いたくもなるのですが、下手に厳しい言葉をぶつけると、相手から「責められた」「困って泣いたのに、さらに追い打ちをかけられた」と逆恨みされる可能性もあるので、対応には注意が必要です。
こちらのイライラが相手に伝わると、相手は萎縮して、本当にわかってほしいことが伝わらなくなってしまう場合もあります。いずれにしても、落ち着いて対処することが必要です。
また泣いている相手に「泣かないでよ。責めているわけではないのだから……」となぐさめるように伝えたら、ますます泣かれてしまったということがあるのではないでしょうか? これは、かまってほしいタイプの人がよくする行動パターンです。
下手に付き合っていると、相手から「かまってくれる人」と認定されてしまうので、変になだめることはしないようにしましょう。 このタイプには、相手が「泣いている自分」に酔いしれないように、冷静に言葉がけをする必要があります。