不調を未然に防ぐ予防医学として、近年注目を集める東洋医学。その東洋医学では、二十四節気に合わせた季節の養生をとても重視しています。冬の始まりである立冬から、東洋医学を取り入れた“こよみ養生”をはじめてみませんか?
体内時計と関係が深い二十四節気に合わせて体のリズムを整えよう
明日は、暦の上では冬の始まりである立冬。でも、ついこの間まで暑かったのに、冬の始まりと言われたってピンとこないかもしれませんね。「暦なんてあてにならない」そんな声も聞こえてきそうです。
立冬や冬至などの暦は「二十四節気」と呼ばれ、その名の通り1年間を24の節気に分けたものですが、「実際の季節感とズレている」と言われることもしばしば。でも実は、ヘルスケアにおいて二十四節気はとても役立つものなのです。
その大きな理由は、二十四節気が太陽のリズム(太陽の運行)にもとづく暦である点にあります。太陽は1日に約1度ずつ東から西に移動していて、1年かけて地球を1周している(ように見える)のですが、二十四節気はその太陽の1年間の通り道を15度ずつ、24等分して日付が決められています。このため二十四節気は日の長さを知る目安にもなっていて、昼が最も長い日は夏至、夜が最も長い日は冬至、冬至と夏至の中間点で昼と夜の長さが同じになる日は春分・秋分とされています。
人間の体には、太陽の光に反応して体のリズムを調整する体内時計(生体時計)が備わっていて、睡眠や代謝をはじめ、さまざまな体内の機能が太陽のリズムとシンクロしています。これは、朝昼晩という1日単位の太陽のリズムだけでなく、四季という1年単位の太陽のリズムにも体が共鳴しているということ。だから、二十四節気を意識することは、体内のさまざまなリズムを整える大きな助けとなるわけです。
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立冬は時間に置き換えると夜9時。リラックスして精気を養うタイミング
1年を24分割する二十四節気と、1日24時間。どちらも太陽のリズムにシンクロしていて24個に区切られているという共通点があるため、二十四節気と1日24時間は置き換えて考えることができます。
冬のはじまりである立冬を1日24時間に置き換えると、夜9時。夜が深まりはじめる時間帯で、一般的には夕食を終えてくつろいでいて、入浴したり体のメンテナンスをしたり、寝る準備をはじめる人も少なくないでしょう。
この時間帯に思いっきり興奮したり、めまぐるしく活動したり、汗をかくほど体を動かしたりすると、そのあとなかなか寝付けなくなりませんか?すると寝不足になってしまって、翌日に疲れが残ったり、肌の調子が悪くなったり・・・。そうならないよう、夜9時以降はできるだけリラックスして過ごすのが理想的ですよね。
立冬の過ごし方もまさに同じで、この時期以降は心身をリラックスモードに切り替えて、できるだけゆったりと過ごすことを意識してみてください。
東洋医学では、冬は「精気を貯蔵する季節」とされています。精気とは生命活動を支えるエネルギー源となるもので、植物の種とか、動物の卵の中に蓄えられている“生命のもと”のようなものをイメージしていただくといいでしょう。東洋医学では、人間の体の中にもこの“生命のもと”となる精気を蓄える場所があり、冬に蓄えた精気が春・夏・秋の健康を支えると考えています。これは、前日の夜にしっかり寝て元気を蓄えることが、翌日の健康につながることと同じ。冬は1日に置き換えると夜に当たる季節なので、あまり活動しすぎず、激しい運動をしすぎず、リラックスして精力をしっかりと蓄えると、次の1年間の不調予防につながるのです。
例えば、春先にイライラしやすい、梅雨時に頭痛やめまいが起こる、夏バテしやすい、秋や冬にかぜをよくひく…など、季節の不調が見られる人は、冬を忙しく過ごしていたり体力を消耗する活動が多かったりしませんか?冬の過労、激しい運動、夜ふかし、無理なダイエット、暴飲暴食などは体内の精気を奪い、不調が起こりやすい虚弱体質化を招きかねません。季節の不調が気になる人は、ぜひ冬の過ごし方を見直してみてください。