【もしかして認知症?】早めの受診が重要な理由をチェック

Q1:“認知症かも?”と思ったらどうすればいい?

A:今起きている症状を確認して、早めに受診を考えましょう

「まず、加齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れは違います。例えば『体験の一部を忘れる』『約束をうっかり忘れる』のが加齢によるもの忘れなのに対して、『体験そのものを忘れる』『約束したこと自体を忘れる』のが認知症によるもの忘れです」と杉山さん。 

認知症の初期は、もの忘れが多くなったことを本人も自覚していて「何だか自分は変だ」と感じたり、「次々とおかしなことが起こる」と戸惑ったりすることもあります。

「自分の印象だけでなく周りの家族や友人などにも聞いてみて、どんな症状が起きているかをチェックしましょう。認知症は早期受診が大切です。下記で当てはまる項目があれば受診を考えてみてください」(杉山さん)

医療機関受診を検討すべき症状

【もの忘れがひどい】

今電話をきったばかりなのに相手の名前を忘れる
同じことを何度も言う、問う、する
しまい忘れ、置き忘れが増え、いつも探し物をしている
財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う

【判断力・理解力が衰える】

料理・片付け・運転などのミスが多くなった
新しいことが覚えられない
話のつじつまが合わない
テレビ番組の内容が理解できなくなった

【時間や場所がわからない】

約束の日時や場所を間違えるようになった
慣れた道でも迷うことがある

【性格が変わる】

ささいなことで怒りっぽくなった
周りへの気遣いがなくなり頑固になった
自分の失敗を人のせいにする
「この頃様子がおかしい」と周囲から言われる

【不安感が強い】

一人になると怖がったり寂しがったりする
外出時、持ち物を何度も確かめる
「頭が変になった」と本人が訴える

【意欲がなくなる】

下着を替えず身だしなみをかまわなくなった
趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった
ふさぎ込んで何をするのもおっくうがり、嫌がる

出典:公益社団法人認知症の人と家族の会

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「早めの受診」が大切な4つの理由

理由1:周囲の混乱を軽くし、方針を決められる

わがまま、頑固などと思われていた言動が認知症によるものとわかれば、周囲の人は納得し、混乱が収まります。また本人にも家族にも受け入れる気持ちが生まれ、治療や介護の方針が立てられます。

理由2: 薬の治療は早く始めるほど有効

アルツハイマー型認知症の薬には、病気を治す作用はありませんが、症状の進行を抑える効果があるとされています。ただし進行したケースでは効果が期待できないため、治療開始は早いほどいいのです。

理由3:「治る認知症」が手遅れにならない

正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫などが原因の認知症は、速やかな治療により驚くほど改善することがあります。また甲状腺機能低下症やパーキンソン病、うつ病などで認知症のような症状が出ることもあるので、早期診断・治療が大事です。

理由4:介護保険などの制度を速やかに利用できる

介護保険の申請には医師の意見書が必要なので早めに主治医を決めることが大切です。また若年性認知症で障害年金を受給する場合、初診から1年半経過しないと申請できないため、受診が遅れると受給も遅れます。