2024年5月5日から二十四節気は「立夏」に
二十四節気は立夏から夏の節気に入りました。
ここから立秋の手前までの六つの節気が暦の上での夏にあたります。
二十四節気の中にはこの立夏のように、春夏秋冬に〈立〉という字が付く四つの節気がありますが、気象学上の区切りを表す、春分・夏至・秋分・冬至(二至二分)とは違った意味を持っていて、〈立〉が付く暦はそれぞれの季節のはじまりを表し、24ある節気の中に等間隔で置かれています。
例えば立夏と立秋の間に夏至があるといったように、〈立〉が付く節気の間に気象学上の節気である二至二分が配置されているのです。
立夏の季節感
端午の節句、菖蒲の節句
5月5日の「端午の節句」、別名「菖蒲の節句」は、現代では男児の健やかな成長を願う日ですが、もともとは季節の重要な節目の日とされてきました。
「端午」とは、5月最初の午(うま)の日を指していて、旧暦の5月が午の月と呼ばれていたことや、〈午〉が〈五〉に通じ、奇数が重なる縁起のよい日とされることから、さまざまな祭礼が行われるようになったのです。
また、端午の節句が行われる旧暦の5月5日は現在の6月初旬にあたり、気温が高くなることから体調が変化しやすく、邪気が入るころと考えられていました。そこで、薬効のある菖蒲*を軒につるし、家の中にも飾って邪気を払う行事が行われてきたのです。
男児の節句となったのは江戸時代ごろからと考えられていて、将軍家に男児が生まれた際に兜を飾ったり、のぼりを立てたりする風習が一般に広まり、現在に近いかたちの節句となったようです。
*薬効があるのは花を楽しむアヤメ科の花菖蒲ではなく、サトイモ科の葉菖蒲です。
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「カーネーション」
□出回り時期:通年(旬は4~6月)
□香り:あり
□学名:Dianthus caryophyllus
□分類:ナデシコ科 ナデシコ属(ダイアンサス属)
□和名:和蘭石竹(オランダセキチク)
□英名:Carnation
□原産地:南ヨーロッパ、西アジア
名前の由来
カーネーションのギリシア名Diosanthosは「ディオス」と「アントス」2つの言葉から成り立っていて、ディオスはゼウスを表し、アントスは花を意味することから、ゼウスの花=神の花という意味があります。ナデシコの属名であるDianthus(ダイアンサス)もこの名に由来すると考えられます。
ちなみに正式な学名ではDianthus caryophyllusとなり「カリオフィルス」はクローブ(丁子)を表しています。これはカーネーションの香りがクローブと同じオイゲノールという香り成分であることに由来しています。
英語のCarnationは諸説あり、古代ギリシアの時代にゼウスに捧げる花の冠を作るために用いられていたと考えられることから、ラテン語で冠を意味するcoronaに由来するという説や、原種の花が赤味を帯びていることから、ラテン語でcarn=肉色という意味から付けられたという説などがあります。
日本には江戸時代初期にオランダ語でカーネーションを意味するアンジャベルという名前で伝わり、17世紀後半に渡来した際にはオランダ石竹*という名が付けられました。昭和初期以降になると、カーネーションの名が徐々に一般的になり現在に至っています。
*石竹(せきちく)とは、カーネーションと同じナデシコ属の草花で、万葉時代に中国から渡来し、葉の形が竹に似ていることからこの名がついたとされます。
母の日とカーネーション
カーネーションを母の日に贈るきっかけとなったのは1907年にアメリカで、日曜学校の教師をしていたアンナ・ジャーヴィスが自身の亡くなった母親を偲んで、教会の行事で母親が好きだったカーネーションを配ったことがはじまりとされています。
日本には20世紀のはじめにこの話が伝わり、当時のアメリカでの慣習の通り、赤いカーネーションは存命の母親への感謝を、白いカーネーションは亡くなった母親を偲ぶために贈るようになりましたが、現在ではそうした区別はなくなり、さまざまな色のカーネーションが母の日の花として贈られるようになりました。
ちなみに世界各国で母の日に贈る花は違っていて、オーストラリアでは「クリサンセマム(菊)」、イタリアでは「アザレア」、タイでは8月12日が母の日で「ジャスミン」を贈る習慣があります。