27日に行われた日本の総選挙と、11月5日に迫った米国の大統領選・連邦議会選挙。この2つの大きな選挙後の市場について、フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏は「不確実である」といいます。その理由と、こうした状況で投資家がとるべき姿勢について、本記事で詳しくみていきましょう。

日本と米国、「2つの選挙」後の市況はどう変化する?

日本の総選挙と、米国の大統領・連邦議会選挙(一部の州知事および地方議会選挙を含む)が近づいてきました。

筆者がお伝えできるのは、「目先の変動性の高まりを認識しておいていただきたい」という1点のみです。「目先」という言葉があいまいで大変恐縮ですが、「年明け頃まで」としておきます。

申し上げるまでもなく、2つの不確実性があるでしょう。ひとつは、選挙の結果そのものです。もうひとつは、(選挙結果を受けた)金融市場の短期的な方向性です。たとえば、米国の大統領選挙でトランプ氏が勝っても、ハリス氏が勝っても、買い材料と売り材料が両方あると考えられます。

実際のところ、個々の市場参加者も、「こっちなら買い、あっちなら売り」とは決め難い状況ではないでしょうか。

ただ、そうした状況においても「システム売買は買いか、売りかのどちらかのシグナルを発する可能性」があります。「人間」が様子見して流動性が低くなっているところに、システム売買が過去のパターンに基づいて取引を行うと、金融市場の変動性は高まる可能性があります。

それに加え、(最初は「機械」の気まぐれ?が引き起こしたかもしれない)ある方向の動きに、人間であれ、システム売買であれ、追随して動く可能性も十分に考えられます。そうなると、金融市場の変動性はいっそう高まります。

(広告の後にも続きます)

不確実な状況でも、「長期・分散・積み立て」を

「長期・分散・積み立て」の3原則は変わりません。経済は日々進化していますし、金融資産価格は長期的にはファンダメンタルズを反映します。目先の変動性に惑わされないように心がける必要があるでしょう。

不確実な世界で、わかることは2つあるでしょう。ひとつは、我々家計の負担が増税なり、インフレなりで高まっていくことです。

もうひとつは、(資本主義社会はもともとそうですが)現代社会は各方面からの抗し難いコントロールによって、資本家がますます利益を得るような強化な仕組みが築き上げられているということです。

これらに対抗するため、我々は資産運用を継続しておくことが重要です。

重見 吉徳

フィデリティ・インスティテュート

首席研究員/マクロストラテジスト