優雅な老後生活が一転して病院との往復だけに
80歳の達也さんは定年退職時に、退職金も合わせて7,000万円の資金を持っていました。マンションのローンも払い終え、2人の娘も結婚して可愛い孫に恵まれ、誰もが羨むような生活。娘夫婦はともに東京に住んでおり、達也さん夫婦は出身地でもある大阪で生活をしています。
定年後は、同じ年の妻・香織さんと毎年国内旅行に行くほか、2~3年に1度はヨーロッパ旅行を楽しんでいました。旅行はパッケージではなく、現地で通訳を付けてもらい、自分のスケジュールで観光地を回るプラン。そのほうが気軽で楽しめると思ったからです。
国内旅行は1回30万円、海外旅行のときには1回200万円近くの費用がかかりますが、達也さんには十分貯蓄もあり、年金も企業年金を合わせると月に40万円と多かったことから、生活に困ることはありませんでした。
時には孫の顔を見に東京に1週間程度滞在し、欲しいものは全部買ってあげる溺愛ぶりです。
その生活が変わったのは、妻の香織さんが突然病気にかかったときからです。
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高齢者に多い脊椎間狭窄症
ある日、とてつもない腰の痛みを訴えた香織さん。急いで病院に行くと脊椎間狭窄症であることが分かりました。ただ、脊椎間狭窄症にはブロック注射で治ることもあり、香織さんも試してみましたが効果がありません。
精密検査の結果、香織さんの脊椎の周りには膿がたまっており、それが痛みの原因になっているとのこと。香織さんには糖尿病の持病があり、それが災いしたのかもしれません。抗生物質を点滴するもなかなか効果がなく、結局5ヶ月間入院することになってしまったのです。
入院中は横になっていることが多く、そうなると足も弱ってしまいます。車椅子での入院生活を余儀なくされ、途中からリハビリを行い始めたものの、退院時には杖が手放せない状態でした。