「リジェネラティブ・ベーカリー」シリーズvol.17
『環境再生型農業』を応援するパン作りをしているベーカリーを紹介するシリーズ。
群馬県・藤岡市にある「リナシメントカフェ」の松本正廣シェフにお話を伺いました。
「発酵所」の松岡シェフから「松本シェフとは仲良しで美味しいお店ですよ」と数年前にお聞きしていたのでやっと訪れることができて嬉しい!
私はパン友さんの車で訪れましたが、JR八高線「北藤岡」駅から徒歩10分強でお店に行けるようです。
温かみのある佇まい、看板など細部にまでこだわりが感じられるところも素敵。
パンの販売は10時~、私たちは店内でランチをしたくてランチタイムイートイン開始の11時に訪問。
小さなお店なので順番にパンの購入やランチの説明などをご夫婦の明るく優しい笑顔とともに受けて購入&無事着席。
席数は少なく、1組2名まででカウンターとテーブル席で4組程度が座れたと思います。
店内は撮影禁止ですが、カフェ利用時の手元の商品撮影のみ可能です。
カウンターに案内していただいたので、松本シェフが珈琲を淹れてくださる様子を見ながらお話を聞かせていただきました。
※訪問したのが7月のため、サンドイッチの具材や商品展開に違いがあることをご了承ください。
北海道産有機ライ麦「ハンコック」を使うようになったのは?
同じ群馬県内にある「発酵所」の松岡シェフと親しくしていて、彼から勧められました。
環境再生型農業を応援する「リジェネラティブベーカリー」として国産ライ麦や転換期間中有機小麦を使っていること、
アグリシステムさんの『次世代に健全な地球環境と食文化を紡いでいくために土壌作りから農業を考える』活動の話を聞いて、私もその想いに共感しました。
アグリシステムさんの粉は以前働いていたお店でも使っていたので自分のお店でも使いたかったのですが扱う問屋さんがなく使えずにいたところ、松岡シェフ繋がりでアグリシステムさんから連絡をいただき卸してくれる問屋をご紹介いただき使えるように。
それまではドイツ産のライ麦を使用し作りたいパンに合わせた材料選びをしていましたが、『素材をベースにパンを考える』ということをしてみました。
左:カンパーニュ、右:信州産杏のタルト
ハンコックはクセがなく吸水もいいので使いやすいです。
信州産杏のタルト(7月訪問時の季節限定商品のため現在は販売していません)の生地にハンコック70%、カンパーニュに18~20%使用。
タルトは食感にライ麦の良さが出ていると思います。
松岡シェフの手伝いで黒パンやライ麦100のパンを焼いたこともありますが「本当にライ麦100%?」と思えるほど食べやすいですね。
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パンを実食
ランチで注文したサンドイッチはものによりますがパンを選べます(バゲット/コンプレ/酒かすのリュスティック/Rコッペ)。
お店のホームページには予約できるパンとサンドイッチのメニューがあり、常連さん達はあらかじめ予約しておいたサンドイッチをお昼時に買いに来られる方が結構いらっしゃいました。
私は前記の写真のように2種類注文し、友人とシェアしていただきました。
カンパーニュもパンドミも美味しかったので自宅用に購入。
◆カンパーニュ
(※10月現在、カンパーニュはお休みになり、期間限定でコンプレにライ麦を使用)
ハンコック20%使用。パンの味わいに奥深さを与えるごくわずかな酸味なので食べやすいですね。
クラストは軽めの赤ワインのような香りで歯切れがよく、クラムはむっちり。
水分を少し与えてからリベイクすると、むっちむちの弾力でクラストはカリッ!
美味しい~。どんな具材でも受け止めてくれそうです。
マヨネーズを薄く塗り無農薬の紫蘇とスモークサーモンをのせてオープンサンドにしてみましたが、パンが美味しいのでシンプルなサンドイッチでもとても美味しかったです。
コンプレ
松本シェフに10/25からカンパーニュに代わって販売されているコンプレについてお聞きしました。
「この時季の季節酵母を使ったアイテムを作りたかったこと、お客様により試してもらえるようサンドイッチの選べるパンとして位置づけたかったこともあり、カンパーニュをお休みしてコンプレを作ることにしました。
先週末2日間コンプレに切り替えたところ、お客様の感触も良かったように思います。
カンパーニュにはない素朴さ、味わい深さと質の良い穀物感、そして酸味を出さなかったことがこのパンの特徴と言えるのかなと思います。
コンプレにも北海道産ライ麦“ハンコック”を使っていて、カンパーニュより多く配合しているのでハンコックの香りがしっかりと出ています。」
◆パンドミ
ずしっと重みがあり、断面からはバターの美味しい香りがして多幸感に包まれます。
クラストはやわらかく、クラムはふんわり&ちょっとむちっ。
バターを塗っていないのにバターの風味が口に広がりなにも塗らなくても美味しい!
トーストすると表面カリッ、ふわっふしゅ~と溶けていくような食感。
クラストもカリッサクッと細かくほどけて非常に食べやすいです。
焼いてもバターを塗ったような美味しさがあります!
◆酒粕リュスティック
酒粕の風味がチーズに似た芳醇さを醸し出しています。
軽くトーストすると外側パリッ、中はもちっと高加水。
カルピス無塩バターを塗ったパンに頂き物の「かねふくめんたいパーク」の“生からし明太子”(一度も冷凍せずに明太液に漬け込んだものだそう)を軽く塗って食べたら最高に美味しいサンドが誕生しました!
酒粕の香りとむっちり食感のパンの“和”な感じと明太バターがとても合う!!
手前右の「とうもろこしバターのフォカッチャ」、左の「山椒バターサンド」は7月訪問時のパンですが、どちらも絶品でしたので来夏にその美味しさに出会いたい!
現在販売していなくて申し訳ないのですが、ハンコックを使った「信州産あんずのタルト」はサックリとした食感の後からさらさらと粉の状態に戻っていくかのような口溶け。
強めの焼きのほろ苦さ、ライ麦の香ばしさ、優しい甘さ、そこにキュキュッと目の覚める酸味の杏がアクセントに。
来年も販売があることを期待します!