環境に配慮したガーデニング
VVVproduct/Shutterstock.com
レモングラスのマルチ素材やローズマリーのフェンスのように、庭の植物の葉や枝は捨ててしまうのではなく、庭に残しておいて土壌や生き物たちの役に立つ素材として活用しましょう。
ガーデンは、なにもキッチンのように隅々までチリ一つなく片付いている必要はありません。ですから、秋になると道にズラリと並ぶ、落ち葉の詰まったゴミ袋を見るとちょっともったいない気持ちになります。ぜひ、こうした落ち葉は庭で活用してほしいものです!
(広告の後にも続きます)
自然のためのステップストーン(飛び石)
Ralf Liebhold/Shutterstock.com
ドイツではミツバチをはじめとする虫たちに、棲みかと食料となる花々を提供する取り組みが試験的に行われています。このアイデア自体は新しいものではありませんが、そのアプローチとしてはさまざまな新たな方法が考えられています。
私の故郷であるドイツ南部には、園芸・造園分野で有名な大学があり、そこが主導してグリーンシティ構想を実施しています。目指すのは昆虫たちが繁殖できる可能性を高めることですが、昆虫の行動範囲は通常500mほど。したがって、少なくとも300〜500m圏内には、ハチやチョウ、その他の昆虫にとって花粉などのオアシスとなる植物や花が必要なのです。
Sevda Ercan/Shutterstock.com
ところでドイツでは、雨や悪天候から身を守るため、または夏に日陰を作るために、バス停にはちょっとした屋根や小さな小屋があるのが一般的です。そこで、この屋根をグリーンシティ構想に利用し、昆虫のためにその地域のさまざまな季節の花を植えることが多くなってきました。バス停間であれば距離も離れすぎてはいないので、昆虫たちも行動範囲の中で連携させて利用することができます。
MarleenS/Shutterstock.com
日本の庭でも、飛び石が庭の道として利用されていることがあります。それと同じように、ハチやその他昆虫にとって、各地に配置されたバス停とそこに植わる地域の植物が飛び石の役割を果たし、道を作っているのです。
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Green Solutions
美しいガーデンづくりばかりがガーデニングではありません。昆虫や生き物たちの居場所を作ること、特に厳しい秋冬に避難できる場所を用意することも、環境のためにとても大切です。
環境への配慮に遅すぎることはありません。ぜひ、ガーデニングを通して生き物たちが命をつなぐための飛び石をたくさん作りましょう。
Credit
話 / Elfriede Fuji-Zellner
– ガーデナー –
エルフリーデ・フジ・ツェルナー/南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子供向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。
Photo/ Friedrich Strauss Gartenbildagentur/Stockfood
まとめ / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。