リスク以上に価値がある「留学経験」
日本は英国同様島国であり、気づいたら隣国にいたということはあり得ません。先進国の一員として水準以上の生活が当たり前に成立してしまう日本国内にとどまり続けているばかりでは「日本の果てが世界の果てだと思ってしまう」若者が育ってしまわないでしょうか。
新型コロナ禍が教えてくれた教訓の一つは、人の行き来が盛んになり、サプライチェーンが複雑化した今の時代、感染症に国境はない、ということです。また、ロシアによるウクライナ侵攻によって、日本とはかなり地理的に離れた場所での戦乱が、我々の生活そのものを揺さぶることも日本人全員が実感しました。
先ほど引用した1600年代の貴族と我々の常識が明らかに違うように、これからの時代を生きる若者は皆さんの常識と離れた時代を生きることは間違いありません。どこで仕事をするにせよ、日本という枠を超えて世界を知っておくに越したことはないのです。
そうはいってもリスクがあるじゃないか、というご意見はごもっとも。そのために私を含むセキュリティコンサルタントや大学と連携したアシスタンス会社・保険会社があるのです。留学を希望する大切なご子息・ご息女をサポートする体制は間違いなく存在しています。
「リスクがあるから留学させない」ではなく、「リスクはあるが、留学で得られる学び、経験はリスク以上に価値がある。だからこそ、リスクを適切にコントロールし、万が一の時には、しっかりサポートしてくれる体制がある大学、プログラムなら留学させてみよう」という発想の転換をしていただけると大変うれしく思います。
尾﨑 由博
海外安全管理本部/海外安全.jp代表