クレーム電話が入ったとき「申し訳ございません」はNG。相手を落ち着かせる、ひろゆきの“ズルい”言いまわし

仕事やプライベートで「なぜかうまくいく人」は、どんな言葉を使っているのか? 実は賢い人ほど、相手から期待通りのリアクションを引きだす「ズルくてうまい言いまわし」を日頃から駆使している。

どんな言葉を使えば物事がスムーズに進むのか? 様々なシチュエーションごとに「ダメな言い方」「うまい言い方」を解説した、ひろゆき氏の新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』から、テクニックの一部を紹介しよう。


◆ヒートアップした相手を落ち着かせる言葉は?

会社のサービスにクレームの電話が入った。話を聞くと確かに自分たちに落ち度があるので謝罪したが、なかなか怒りが収まらない様子。相手は「上司に代われ」「代表を出せ!」と、どんどんヒートアップしてくる……。なんと言えば落ち着きを取り戻してもらえるか?

◆あえて会話のテンポを落として、相手が“冷静になる時間”を稼ぐ

怒っている人を上手になだめたい気持ちはわかります。でも、言葉で相手を落ち着かせることはできない、というのが僕の考えです。

怒っている人のなかには、自分の不快な思いを誰かにぶつけたいだけの人もいるからです。そういう人には何を言ってもムダ。どんなになだめても言葉尻や態度、言い方などに難癖をつけて怒りをぶつけてきます。

「時間が解決してくれる」という言葉もありますが、怒りを収めるためには時間の経過が一番。というのも僕の経験上、人間の怒りは短時間しか継続しないからです。

「オレは1時間以上怒られたことあるけど?」という人もいるでしょうが、それは会話を継続しているからです。怒っている人はアラ探しをして難癖をつけてきたりするので、会話を継続する(=怒りをぶつける相手がいる)と、気持ちのいい状態が継続してどんどんヒートアップする可能性があります。

だから、必要なのは冷静になる時間です。つまり、怒っている相手とは会話を続けず、時間を稼げればいいのですね。

例えばクレームの電話を受ける場合であれば、相手がどれほど大変だったかを聞きつつ、自分たちの落度の有無にかかわらず「それは大変でしたね……申し訳ございませんでした」と謝る。これで落ち着く人もいると思います。

ただ、謝ったことで「どう落とし前をつける!?」みたいに具体的な対応を求めてくることもあります。その際には、「私では判断しかねるので、上長に確認を取り次第ご連絡を差し上げますので、何時ごろがご都合よろしいでしょうか?」と丁寧に連絡先を聞いて電話を切るのが正解です。

怒りたい人の場合は、「今すぐ出せ!」と無理難題をぶつけて話を長びかせようとしますが、「私の一存では対応できかねます」とだけ繰り返し、さっさと電話を切る方向にもっていくわけです。

◆会話のテンポはゆっくり

その際はなるべく会話のテンポをゆっくりにするといいです。逆にキレられそうな気もしますが、人間は相手の話すペースに自分も巻き込まれてしまう習性があります。怒っている人は早口になりがちなので、「はぁ……さようでございますか」と“間”をつくると、相手の待ち時間が増える、つまり冷静になるタイミングが増えます。

そうやって相手の怒りが収まって冷静になってから話さないと、ヒートアップして余計に大ごとになって面倒なことになったりすると思うのですよ。

◆ヒートアップした相手を落ち着かせるには…

× 申し訳ございませんでした!

◎ はぁ……さようでございますか

構成/杉原光徳(ミドルマン)

―[賢い人が自然とやっているズルい言いまわし]―

【ひろゆき】

西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』