相続発生時、相続人が対処に悩むものに、故人の免許証やクレジットカードがあります。いずれも悪用のリスクを回避するため、慎重な対応が求められます。相続専門税理士の岸田康雄氏がやさしく解説していきます。
亡くなった人の免許証の返納手続き、どうすればいいの?
亡くなった人の運転免許証は法律上返納義務はありません。返納しなかったからといってペナルティがあるわけではないのですが、免許証は身分証明書としても一般的に使用されているため、万が一盗難された場合に悪用されるリスクがあります。そのことから返納することが望ましいといえます。
遺族が希望すれば、免許証にパンチ穴を開けて無効とわかる状態にしたうえで、手元に残しておくことができます。免許証を手放したくないからといって返納手続きを控える必要はありません。
亡くなった人の免許証、免許証の持ち主が亡くなったことがわかる書類が必要です。死亡診断書や死亡後に取得した戸籍謄本の写しなどですね。あとは届け出る人の身分証明書と認印をそろえてください。
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クレジットカードの未払い金、解約遅れで遅延損害金の可能性も
クレジットカードは、保有者が亡くなったときにカード会社との契約が終了となり、カード自体が無効となります。しかし遺族がカード会社に連絡をしない限り、カード会社は保有者が亡くなったという情報を把握できないため、カードは有効なままとなっています。
連絡を忘れて放置していると、年会費が引き落とされますし、万が一盗難にあった場合は、不正使用される可能性もあります。
利用停止にならないからといって、遺族がそのままクレジットカードを使うことはカード規約違反となります。クレジットカードは亡くなった保有者に代わり、遺族が解約する必要があるのです。
クレジットカードの解約手続きは、電話だけで完了します。ですが、遺族が本人に代わって解約するため、死亡診断書か死亡後に取得した戸籍謄本の写しの送付を求められる場合があります。
クレジットカードの未払いは「債務」として相続人に支払い義務が発生します。通常は相続発生後に残額の一括支払いをカード会社から求められます。手続きが遅れると、カード会社によっては遅延損害金がかかってしまう場合もあるため、なるべく早く処理をすることが必要です。