「額面給与に対して手取りが少なすぎる」…多くのサラリーマンがこうした不満を抱えている様子が見かけられます。その理由は、会社員に課せられている所得税・住民税・社会保険の負担にあります。これを回避するにはどうすればいいのか。そのヒントを、坂下仁氏の新刊『新版 いますぐ妻を社長にしなさい』(フォレスト出版)より一部を抜粋しご紹介します。
税金負担はサラリーマンの3分の1…特権階級の存在とは
「人」には2種類の人がいるのを、あなたはご存じですか?
生身の人間には男と女がいますが、もっと大きなくくりで考えると、私たち人間の他にじつはもう1種類の「人」がいるのです。その人たちは、「生身の体」を持たない不死の存在です。しかも、税制面では私たちよりはるかに優遇されている特権階級の人たちです。
そんな特別な人たちのことを、私たちは「法人」と呼んでいます。法人には目に見える「体」がありません。たとえていうならアバターと同じようなものです。
アバターとは、インターネット上のコミュニティーのルールに従って動く「あなたの分身」ですが、法人は実社会のルールに沿って活躍してくれるアバターなのです。アバターをつくるのは簡単ですが、インターネットの普及と「合同会社」の登場により、法人も簡単につくれるようになりました。
日本国内には、株式会社のような営利法人が約178万社あります。営利法人の99%が中小企業で、その大半が小規模企業です。近所にある〇〇商店という小さなお店の多くは、こうした小規模の法人です。法人と聞いて私たちがイメージするような大企業は1%もありません。
強烈なのはここからです。こうした法人という人たちが、なぜ特権階級なのか? たとえば課税所得330万円超のサラリーマンは、所得税20%+住民税10%+社会保険30%=60%を負担しています(わかりやすいように所得控除などは含めないで考えます。以下同様です)。
社会保険料を15%ずつ労使折半する建前で給料を逆算するので、実質税率は45%ではなく60%です。給与明細に載らないので気づきません。財務省によると2020〜2023年の潜在的国民負担率(税金+社会保険料)の平均値は6割弱でしたが、なるほど、つじつまが合います。
ところが、法人はサラリーマンのような厳しい税金を払わなくてもいいのです。なぜなら、企業の大半を占める中小法人では実効税率が約20%にしかならないからです。しかも、日本の法人の3分の2は赤字ですから、7万円の住民税しか支払っていないということになります。
それなのに、消費税は引き上げられて、それとは逆に法人税はさらに優遇されていってしまう。理不尽にもほどがあります。
では、私たちサラリーマンはこれからも永遠に酷税に耐えつづけなければならないのでしょうか? じつは、秘策があります。それは、「プライベートカンパニー」の活用です(ファミリーカンパニー、マイクロカンパニー、自分会社、一人会社と呼ぶ人もいます)。
プライベートカンパニーとは、私たち個人が身にまとえる「魔法のマント」のようなものです。一家に1枚あるだけで、家族全員がその魔法の恩恵を受けることができるスグレモノです。なぜならば、プライベートカンパニーを羽織るだけで、家族全員が「法人」という特権階級に昇格してしまうからです。
(広告の後にも続きます)
魔法のマントによって税制面・信用面・資金繰り面で優遇される
プライベートカンパニーという名の「魔法のマント」が1枚あれば、まるで魔法使いになったように、いままでできなかったあらゆることができるようになります。プライベートカンパニーとは自分法人、つまりあなた専用の法人です。
法人が税制面で圧倒的に低い税率になることについてはお話ししましたが、メリットはそれだけではありません。プライベートカンパニーを羽織るだけで取引上の信用力が上がって、ビジネスをするうえで有利になります。しかも、銀行からの融資も受けやすくなって資金繰り面でも安定性が増します。つまり、税制面・信用面・資金繰り面で優遇される最強のアバターです。
しかも、法人というアバターには寿命がありません。プライベートカンパニーにつける社名も、掲げた理念も、プライベートカンパニーが保有する財産も、すべてを子々孫々と引き継いでいくことができます。「魔法のマント」の他に「方舟」の役割も果たしてくれるというわけです。こんな便利なものを使わない手はありません。
夫婦の収入を夫だけに偏らせるのではなく、妻にも収入源を持ってもらい、妻に経済的に独立してもらったほうが税制面でも圧倒的に有利です。ところが、それよりももっと効率的に節税する方法が、このプライベートカンパニーを活用する手法なのです。プライベートカンパニーをつくってしまえば、夫と妻とプライベートカンパニーとの三者間でバランスよく所得の分散ができるので、節税効果もグレードアップします。
中小法人は税率が低いというお話をしましたが、メリットはまだまだあります。青色申告を始めとするいくつかの制度を利用するだけで、さらに税金が安くなる仕組みになっているのです。税制は毎年変化していきますが、零細企業向けの優遇税制については、社会的弱者保護と雇用の維持という社会政策的な意味合いが強いので、撤廃されることはまず考えられません。