物価上昇や保険料、医療費の増加も視野に入れる事が大切

年金の受取額は受け取り開始時で決まります。もし65歳から受け取るとしたら、その額が生涯受け取れます。

ただ、今後物価や医療費の上昇、さらには社会保険料の増加も考えなければならないほか、高齢者の医療費負担も増加する可能性も否定できません。

またマンション暮らしなら毎月管理費も払わなければなりませんし、介護状態になったときにどうするかも考えなければなりません。美保さんの場合はローンも完済しているため、売却して入居費用に充てることもできるでしょう。ただ、売却価格で足りるのかという心配も拭えません。

リタイア後に一気に生活レベルを下げられる人はなかなかいません。それどころか、今までできなかった旅行などを考える人もいます。であれば、それらの費用も準備しておく必要があります。

また、老後資金については運用しながら切り崩す考えも大切です。NISAの制度を利用しながら債券などをメインとした安定運用を行い、利益の一部を生活費として使ってもいいでしょう。

美保さんは65歳までは今の仕事を続け、リタイアするつもりです。それまでに貯蓄をさらに増やすことはもちろん、リタイア後の生活レベルをどう見直すかについて専門家への相談も視野に入れながら考え始めています。

新井智美

トータルマネーコンサルタント

CFP