投資を始めたはいいもの、具体的に資産がいくら増えるのか、よくわかっていない人も多いのではないでしょうか。とくに、複利の計算は複雑なので、Excelで計算し、将来のシミュレーションをしておきましょう。本記事では、Excelを使った試算シミュレーションシートの作り方をFP1級の川淵ゆかり氏が解説します。

〈シミュレーション〉複利運用でいくらまで増やせるか?

投資を始める人が増えてきました。今回は、老後資金つくりなど、まとまったお金を将来いくらまで増やせるかを試算するシートをExcelで作る方法を説明します。

単利と複利の違い

単利は計算式で表すと「元本×利率」です。毎回同じ元本をもとに計算しますので、利子は定額となります。たとえば、元本100万円で利率が2%だと、毎回2万円の利子となります。

これに対し、複利は前回付いた利子も含めて利子を計算します。まさに、「利子が利子を産む」状態で増えていきます。しかし、せっかく複利の商品を利用しても、期間が短かったり利率が低かったりすると、効果は単利とあまり変わりません。

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複利の計算式

複利は高い金利で運用期間が長ければ長いほど、雪だるま式に資産がふえていきます。ですから、計算式も単利に比べるとちょっと複雑です。ちなみに単利の計算式は、元本×利率×年数で算出します。

複利の計算式は、元本×(1+利率) で計算します。複雑なので、Excelに計算式を打ちこんで、自動計算させましょう。

1.まず、次のようにExcel のシートに打ち込みます。



[図表1]シートに打ち込んだ様子 出所:筆者作成

2.次に複利計算の元になる値を入力します。



[図表2]元になる値を入力した様子 出所:筆者作成

今回は100万円を10年間、年2%で複利運用した結果を求めるものとし、100、10、2%と必ず半角(日本語入力OFF)で3ヵ所に入力します。

3.最後に計算式を入力しましょう。

なお、Excel でべき乗計算は^(ハット記号)を使います。^の記号は、キーボードの右上にあります(「へ」のような記号です)。作成する複利計算の式は、次のようになります。それぞれのセルの場所を確認しておきましょう。



[図表3]複利計算の式 出所:筆者作成

計算式とセルの場所が確認できたら、結果を出したい位置に計算式を入力していきます。



[図表4]計算式を入れる位置 出所:筆者作成

今回はC8のセルに次のように計算式を入力しましょう。



[図表5]式を入力した様子 出所:筆者作成

※すべて半角(日本語入力OFF)で入力してください。

※乗算の記号は*(アスタリスク)になります。



[図表6]計算結果が表示された様子 出所:筆者作成

Enterキーの押下などで、計算結果が表示されます。小数点以下の桁数はお好みで調整してください。

「手順2」の複利計算のもとになる数字(3つの値)を入れ替えることで、いろいろとシミュレーションすることができます。たとえば、500万円を年3%複利で20年間運用すると次のような結果になります。



[図表7]数値を変更して計算した様子 出所:筆者作成

入力した計算式だけは変更しないようにご注意ください。なお、計算結果には税金は考慮していません。タイトルや見出しなどは、ご自身で使いやすいように変更してみましょう。なお、べき乗計算は、POWER関数を使っても計算できます。関数の使える人は、実践してみてください。

また、プログラミング言語やデータベースの処理言語でも次のように関数が用意されています。

・Java……Math.powメソッド

・C言語……pow関数

・Python……pow関数

・SQL……POWER関数

など

いまはプログラムが作れる人が増えてきましたので、プログラムの作れる人は、得意の言語でプログラミングしてみてください。