自分とは違う意見や価値観を持つ相手から反論を受けることは、ビジネスにおいてよくあることです。しかし、感情的にイラッときて衝動的に返答すると、余計なトラブルを招くことも少なくありません。研修講師として25万人以上にアンガーマネジメントを指導してきた戸田久実氏は、怒りは6秒経てば自然と落ち着くという特性があると指摘します。本連載では、戸田氏の著書『アンガーマネジメント大全』(日経ビジネス人文庫)から、反論を受けても動じず、トラブルを回避するための実践的なテクニックについて一部抜粋・編集して紹介します。
余計なトラブルを引き起こす“NGな行動”
Q:反論する相手に怒りがわいてきてしまいます。
A:まずは6秒待とう
怒りは、6秒たてば理性が働き、落ち着いてくるという特性があります。反論されたら、相手の言葉を復唱しながら6秒待ちましょう。
アンガーマネジメントで一番やってはいけないことのひとつが、怒りに任せた衝動的な行動をとることです。売り言葉に買い言葉のように、やり返すということは避けましょう。怒りが生じても、人は6秒たてば理性が働き、怒りに任せた衝動的な行動はしなくなります。そのため、イラッとしたり、怒りがわいてきたら、6秒やり過ごせるようにしましょう。
ただただ6秒黙っていると不自然になってしまうので、おすすめなのは「○○さんは、そういったお考えなのですね」と、ゆっくり相手の発言を復唱すること。復唱している間に6秒たつので、気持ちが落ち着いてきます。
この動作をはさむことで、衝動的で攻撃的な返答をして、余計なトラブルを起こすことを避けることができるのです。そもそも、仕事において、自分とは違う意見や違う価値観を持つ相手がいるのはよくあること。
誰かがあなたの意見と反対の意見を言ってきたからといって、あなた自身を全否定するものではないということを、まずは理解しておいてください。
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相手も冷静にさせる「切り返し方」
では、相手の反論を受けて、どう切り返していけばいいのでしょうか。
まず前述したように、「○○さんは、わたしのこの意見に対しては違う意見なのですね」と言葉を受けとめたあと、「そう感じた背景を教えていただけますか」と伝えます。
ポイントは、なぜ反対なのかを冷静に尋ねること。冷静に返せば、相手のリアクションも冷静になってくるのです。