2024年11月3日、シーズン3位だった横浜DeNAベイスターズがSMBC日本シリーズ2024で福岡ソフトバンクを破り、日本一に輝いた。
2連敗からの4連勝。劇的な下剋上に、ハマの商店街は狂喜乱舞の大騒ぎ。優勝セールに沸いている。
その経済効果はいかほどか。ハマの経済に詳しい浜銀総合研究所研究員の北田英治さんに聞いた。
社長の「鶴の一声」で「2.6億円」→「26億円」の10倍に
横浜髙島屋では、11月4日から10日まで「祝!日本一!!夢と感動をありがとう」の優勝セールを開催。約120の売り場でお買得商品の販売や、均一価格セールを行う。目玉は、日本一を記念した純金小判の受注販売だ。販売予定価格は46万2000円だが、予約受付には4日の開店直後から長い列ができた。
2008年からDeNAのスポンサーを務めている家電専門店のノジマでは、日本一が決まった3日、午後9時過ぎの時点で「日本一おめでとう!総額2億6000万円還元セール」の開催を発表した。「26」の数字にこだわったのは26年ぶりの日本一だからだ。
しかし、一夜明けた4日午前11時、公式Xの「デジタル家電専門店ノジマ【公式】」(@nojima_official)で「社長に怒られたのでやっぱり【26億】還元!!」という「緊急号外」が投稿された。
投稿によると、野島廣司社長の「26年ぶりの日本一セールで、なぜ26億円還元ではないのか?」という「鶴の一言」で還元率が10倍に大幅アップされたようだ。
ノジマでは、最大3万円分のポイント還元や特価商品を用意。抽選で選手のサイン入りグッズが当たるキャンペーンなどの実施を発表した。
また、横浜DeNAベイスターズのスポンサーを務めているエバー航空が11月10日まで「優勝記念セール」を実施、日本発全路線(エコノミークラス)の運賃を20%オフで販売している。
このほか、横浜中華街では祝賀獅子舞が登場し、多くの店舗で割引セールを実施。そごう横浜店、横浜元町ショッピングストリート、ランドマークプラザ・MARK IS みなとみらい、新横浜プリンスペペでも優勝セールが開催中だ。
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38年ぶり日本一の1998年の経済効果は、約58億円だったが…
横浜市が大変な盛り上がりようだが、直接的な経済効果はどれほどの額になるのか。J‐CASTニュースBiz編集部は浜銀総合研究所調査部部長・上席主任研究員の北田英治さんに話を聞いた。
北田さんはFMヨコハマの朝の番組「ちょうどいいラジオ」の経済コーナーを担当している。じつは、今回は経済効果の試算を発表していないが、1998年に横浜が38年ぶりに日本一になった時と、2017年に日本シリーズに進出した時(日本一は逃した)の2回、試算調査を発表している。
1998年時は約58億円、2017年時は約75億円だった。2017年時には、日本シリーズにおける横浜スタジアム周辺の消費額(飲食、物販、入場料、交通費、宿泊費)と百貨店、スーパーなどの優勝セール、優勝パレード時の消費を合計した。
――今回は、なぜ経済効果の試算を行なわなかったのでしょうか。
北田さん 2017年と全く同じパターンだったことも理由の1つです。2017年も、横浜DeNAベイスターズのシーズン順位は3位で、日本シリーズの相手もソフトバンクでした。その時は、2勝4敗でソフトバンクに敗れました。しかし今回は、4勝2敗で見事にリベンジを果たしました。
――それは盛り上がりますね。となると、今回の経済効果の額も約75億円近くになりますか。
北田さん いやあ、もっともっと高い額になるでしょう。理由はいくつかあります。横浜スタジアムには7年前にはなかったウイング席が増設され、観客数が増えました。また、7年前よりインフレ(物価上昇)が進んでいます。
具体的には、全国消費者物価指数が総合で7.1%上昇、外食で14.0%上昇、酒類で8.1%上昇、プロ野球観覧料で7.4%上昇となっています。