一般ワイン愛好家を対象にした世界ブラインド・テイスティング・コンペティション「シャンピオナ・デュ・モンド・ド・デギュスタシオン」(Championnat du monde de dégustation de La RVF)が10月12日、ボルドーのシャトー・ドザックで開かれた。4時間を超える闘いを制し優勝したのはイタリア、次いで2位スイス、同点2位台湾、日本チームはこれまでで最高位となる4位に入賞した。

このコンクールはフランスのワイン専門誌『ラ・ルヴュ・ド・ヴァン・ド・フランス(RVF)』が2013年に始めたもので、今回12回目。前回はプロヴァンスのシャトー・サント・ロズリンヌで開かれ、世界33カ国が参加し、ルーマニアが優勝した。これまでの優勝国は2013年ベルギー、2014年フランス、2015年スペイン、2016年中国、2017年スウェーデン、2018年ベルギー、2019年フランス、2020年フランス、2021年ハンガリー、2022年ルクセンブルク。

[ 関連記事を読む – ニュース ]

ボルドー メドック地区のラバルド村にあるマルゴー第5級のシャトー「シャトー・ドザック」(畑は45ha、栽培比率は、カベルネ・ソーヴィニヨン68%、メルロ32%)

今大会の出場国は、これまでで最も多い合計39カ国。ブラインド・テイスティングの世界一を決めるこの国際大会は、回を重ねることに注目集めており、この大会に出場するために、140 人以上の候補者が競い合ったデンマークや、約 20 都市で予選が行われた中国、さらに複数の予選を経て選ばれたフランス、ベルギーのように、世界各国からブラインド・テイスティングに長けた選りすぐりの強者が集まる。

日本からは大倉野泰造氏(テレビ局勤務)、片山正樹氏(建築士)、横山武信氏(ビルメンテナンス会社経営)、ブリークリー美香さん(外資系金融勤務)、コーチ石塚 秀哉氏(パリ、レストラン「プティ・ヴェルド」オーナーシェフソムリエ)が参加した。
各国選手4名とコーチ1名、計5名がチームを組み、ブラインドで12本のボトルを試飲し、試飲の正確度を競う。テイスティングの課題として今回用意されたボトルは赤6本、白6本で、品種、生産国、アペラシオン、ヴィンテージを推測する。

今回のテースティングコンペティションは初めて、シャトー内の庭に設けられた特設テント内で行われた。幸い好天に恵まれ、明るい、良いコンディションの下で試飲が行われた

日本チームの横山武信氏、大倉野泰造氏、片山正樹氏、ブリークリー美香さん

ワインNo.1=主なブドウ品種:チャレッロ(65%)、マカベオ(35%)/生産国:スペイン/アペラシオン:コルピナット/生産者:カン・デスクレグット/ヴィンテージ:2018年
ワインNo.2=主なブドウ品種:リースリング/生産国:フランス/アペラシオン:アルザス グラン・クリュ アルテンベルグ・ド・ベルクハイム/生産者:ギュスターヴ ロレンツ/ヴィンテージ:2019年
ワインNo.3=主なブドウ品種:ソーヴィニヨン・ブラン(90%)、セミヨン(10%)/生産国:ニュージーランド/アペラシオン:マールボロ/生産者:セレシン エステート/ヴィンテージ:2022年
ワインNo.4=主なブドウ品種:ガルガーネガ/生産国:イタリア/アペラシオン:ソアーヴェクラシコ/生産者:ジーニ – ラ フロスカ/ヴィンテージ:2020年
ワインNo.5=主なブドウ品種:リースリング(遅摘み)/生産国:ドイツ/アペラシオン:モーゼル/生産者:マルクス・モリトール/ヴィンテージ:2018年
ワインNo.6=主なブドウ品種:ガメイ/生産国:フランス/アペラシオン:ブルイィ/生産者:シャトー・ド・ラ・シェーズ/ヴィンテージ:2022年

結果発表後「シャトー・ドザック」での前で、優勝したイタリアチームを中心に参加者全員の記念撮影が行われた

ワインNo.7=主なブドウ品種:マルベック/生産国:アルゼンチン/アペラシオン:メンドーサ/生産者:ボデガ ローラン/ヴィンテージ:2019
ワインNo.8=主なブドウ品種:テンプラニーリョ(97%)、メルロ(3%)/生産国:スペイン/アペラシオン:リベラ・デル・ドゥエロ/生産者:ベガ・シシリア・ヴァルブエナ/ヴィンテージ:2019年
ワインNo.9=主なブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニヨン(65%)、シラー(35%)/生産国:レバノン/アペラシオン:ベッカー・ヴァレー/生産者:シャトー・ケフラヤ/ヴィンテージ:2019年
ワインNo.10=主なブドウ品種:ネッビオーロ/生産国:イタリア/アペラシオン:バローロ/生産者:ジャコモ・ボルゴーニョ/ヴィンテージ:2020年
ワインNo.11=主なブドウ品種:ムールヴェードル(95%)、グルナッシュ(5%)/生産国:フランス/アペラシオン:バンドール/生産者:ドメーヌ・ド・ラ・ベギュード/ヴィンテージ:2006年
ワインNo.12=主なブドウ品種:サヴァニャン/生産国:フランス/アペラシオン:コート・デュ・ジュラ/生産者:ドメーヌ・サント・マリー/ヴィンテージ:2011年

悲願の初優勝を果たしたイタリアのチームメンバーとコーチのピエール・イヴ・シャリエ氏

今大会の総合ランキング:
1. イタリア(168点)
2. スイス(140点)
2. 台湾(140点)
4. 日本(136点)
4. ラトビア(136点)
6. フィンランド(131点)
7. メキシコ(130点)
8. ルーマニア(125点)
9. ベルギー(123点)
10. 中国(120点)
10. ドイツ(120点)
12. スペイン(114点)
12. ルクセンブルク(114点)
14. オーストリア(112点)
14. デンマーク(112点)
16. モルドバ(107点)
17. ベラルーシ(103点)
17. モナコ(103点)
19. ポルトガル(99点)
20. 香港(97点)
20. アメリカ(97点)
22. ポーランド(96点)
23. オランダ(95点)
24. カザフスタン(94点)
24. スウェーデン(94点)
26. 南アフリカ(93点)
27. カナダ(92点)
28. フランス(91点)
29. マルタ(89点)
30. ケニア(87点)
31. イギリス(86点)
32. ブラジル(85点)
32. ハンガリー(85点)
32. アイルランド(85点)
35. インド(81点)
36. シンガポール(69点)
37. マレーシア(54点)
38. トゥルキエ(47点)
39. アルバニア(33点)

フィリップ・ド・カントナック氏(コンクール創設者、大会責任者)のコメント

「今回のコンペティションで日本は最初の白5本目まで1位を独走し、周りのチームを驚かせたが、中盤にやや乱れが生じた。一方、優勝したイタリアチームは、さまざまな背景を持つ愛好家たちの集まりで、彼らはほぼ10年間一緒にテイスティングを続けている。今回はこれまでと異なり、全体に良い選択をし続け、優勝した。転機となったのは8本目のワイン。チームで唯一の女性の直感のおかげでヴェガ・シシリアの伝説的なイベリコワインを特定し、競争でリードした。今回の課題は、ラベルを一見すれば馴染みのある比較的わかりやすい典型的なもので、独創的な発想を必要としたり、裏をかいてアッと言わせるような、意表を突くような問題はなかった。

台湾がスイスと並んで同点2位、日本4位など今回アジア勢の上位進出が目立った。一方2022年に優勝したルクセンブルクは13位、これまで3回優勝してきたフランスチームは、アルザス産リースリングを間違うなど致命的なミスを犯して28位に終わった。次回、2025年はジュラでの開催が決まっている。大会期間中に参加者の興味を引くさまざまな催しを充実させ、今回以上の参加国を募りたい。急激に力をつけている日本チームにも引き続き参加してほしい」

左/コンクールを主催したRVFのドゥニ・サブロー編集長(左)、大会創設者のフィリップ・ド・カントナック氏(右)、長年日本チームのコーチを務める石塚秀哉氏(中央)
右/試飲テーブルを囲む日本チームのメンバー、白ワインのテースティングではほぼ完ぺきな成績をあげた

(広告の後にも続きます)

石塚秀哉氏のコメント(2015年の日本チーム初参加以来コーチを務めている、パリのレストラン「プティ・ヴェルド」のオーナーでソムリエ)

「今回のコンクールチーム編成は日本ソムリエ協会主催のブラインド・テイスティング・コンテストで優勝経験のある片山正樹氏と大倉野泰造氏にお願いした。その結果、これまで最強のチームが編成され、昨年の11位を上回る素晴らしい結果となった。来年も同じメンバーで再挑戦して、ぜひとも3位以内の入賞を果たしたいと考えている。今回の活躍を契機に、この大会への日本のワイン愛好家の関心が高まることを期待している」