今年の10月から、薬代の自己負担の仕組みが変わったのを知っていますか?一言で言えば、先発医薬品(新薬)から後発医薬品(ジェネリック医薬品)に切り替えないと自己負担額が大幅に増大してしまうというものです。薬代を節約するには、ジェネリック医薬品に切り替える必要が出てきたわけですが、そもそもジェネリック医薬品がどういったものか分からないという方も多いでしょう。そこで本記事では、ジェネリック医薬品の特徴やメリット・デメリットを詳しくお伝えします。
10月から医薬品の自己負担の仕組みが変更に
顕微鏡を覗く女性研究者
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4月と10月に国の制度が変わることは少なくありません。今年も4月から物流業・建設業・医師の時間外労働規制が設けられ、この分野での働き方が大きく変わりました。また、10月からは社会保険の適用対象がさらに拡大。これまで社会保険の適用外の働き方をしていたパート・アルバイト従業員の多くが社会保険の加入対象者となりました。企業にとっても働く人にとっても影響の大きい制度変更が行われました。
そして、この10月から大きく変わったことの一つに、医薬品の自己負担の仕組みがあります。あまり大きなニュースにならなかったため、気付かなかった方も多いのではないでしょうか。10月から後発医薬品(ジェネリック医薬品)がある薬で、先発医薬品(新薬)の処方を希望する場合、新たに特別料金の支払が必要となりました。
ジェネリック医薬品とは、新薬の特許が切れた後に製造される医薬品のことで、新薬と同様の有効成分、品質、効き目、安全性が担保されていると国から認められた医薬品のことです。10月からジェネリック医薬品があるにもかかわらず、新薬の処方を希望する場合は、両者の薬価差額分の4分の1を特別料金として支払わなければなりません。
例えば、新薬の価格が1錠100円、ジェネリック医薬品が1錠60円だったとすると、差額分40円の4分の1=10円を特別料金として支払う必要があります。特別料金は課税対象のため消費税がかかるほか、高額療養費等の計算の際の一部負担金にも含まれません。
簡単に言えば、薬代の値上げです。物価高も収まらない中、実質賃金も低下を続け国民生活は一向に上向きません。どうしてこの状況で薬代の値上げが行われるのでしょうか。納得できない方も多いと思います。厚生労働省では、その理由を次のように説明しています。
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なぜ薬を値上げする?
薬価
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「みなさまの保険料や税金でまかなわれる医療保険の負担を公平にし、将来にわたり国民皆保険を守っていくため、国は価格の安い後発医薬品への置き換えを進めています。そのため、医療上の必要性がある場合等を除き、より価格の高い一部の先発医薬品を希望される場合には、「特別の料金」としてご負担をお願いすることとなりました。これにより、医療機関・薬局の収入が増えるわけではなく、保険給付が減少することにより医療保険財政が改善されますので、ご理解とご協力をお願いします。」
要は、世界でも例を見ないような超高齢社会の中、増大を続ける医療費に社会保障財政が持たなくなりそうだ。ついては、薬価の高い新薬から薬価の安いジェネリック医薬品に切り替えてくれ――。といったところです。