パイ生地の上になめらかなプリン生地とふんわりとしたカスタード生地を重ね、上面をカラメル状に香ばしく焼き上げたケーキ。1973年に開業した老舗洋菓子店の店主が、パリで見つけた古い文献の中にあったレシピを再現したものです。
よろスィーツ! スイーツ芸人のスイーツなかのです。
秋が近づくと食べたくなるケーキ「シブースト」。お菓子に詳しい人だと食べたことがあるかもしれないけど、ショートケーキやモンブランなどに比べると、一般的な認知度はそこまで高くないと思います。
シブーストの歴史は古く、19世紀中頃にフランスで誕生したと言われています。考案した菓子職人さんの名前がシブースト氏ということもあり、そのままお菓子の名前に。
簡単にどんなケーキか説明すると、パイ生地にフルーツとクリームを合わせ、その上をこんがりとキャラメリゼしたつくり。
ここで、注目したいのが、クリーム!
生クリームやホイップクリームではなく、「カスタードクリーム」に「ゼラチン」や「イタリアンメレンゲ」を合わせた特製のクリームなのです。これが、シブースト氏が考案した「クレーム・シブースト」というもので、このケーキの主役と言ってもいいくらい大切なところ。
日本でシブーストを手がけるお店も増えましたが、やっぱりここのシブーストは外せない!と思うのは、ブールミッシュ。1973年に誕生した老舗洋菓子店で、日本の洋菓子の歴史を語る上では欠かさない名店です。
オーナーシェフの吉田菊次郎さんは、お菓子の世界で知らない人はいないほど著名な方。ぼくも昔お会いした時は、やさしい語り口でお菓子のお話を伺えて、とても嬉しかった思い出があります。
ブールミッシュのシブーストは、お店のスペシャリテと呼ばれるほど、看板のお菓子。その昔、吉田シェフがパリで修行をされていた時に、古い文献を読んでいたところ、「クレーム・シブースト」のレシピと出会い、それを約150年ぶりに再現したのが、ブールミッシュのシブーストなのです。
はじめて食べたときは、なんて美味しいケーキがあるんだ!と感動したくらい、クリームとリンゴとパイの一体感に心を掴まれました。
一番上は、ふんわりとなめらかで、上品な舌触りのクレームシブースト。その下に、リンゴを合わせたカスタードプリンのような生地があり、いっしょに食べたときの甘さやくちあたりなど、相性が抜群にいい!
リンゴはバターでソテーしてあって、リンゴとしての美味しさをしっかりと楽しめるところも嬉しく、秋にぴったりの味わい。
表面のキャラメリゼした香ばしさや、底のパイ生地のサクッとした食感も素晴らしいアクセントで、ひと口食べると長く愛されてることがよくわかります。
初めてシブーストを食べる人にも、秋のスイーツを食べたい人にも、おすすめしたいケーキです。
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