他の方角の特徴もチェックしよう

物件選びの条件として日当たりを最も重視するのであれば、確かに南向きの家は最有力候補となるでしょう。
しかし、様々な条件を複合的に見れば、南向き以外にもベストな方角が見つかるケースもあります。
そこで、南向き以外の家の特徴やメリット・デメリットを解説するとともに、それぞれの向きにどんな人が適しているかもご紹介します。
自分のライフスタイルや希望条件と照らし合わせつつ確認してみてください。

東向きの家

東向きの家は、朝方から午前中の時間帯に日当たりが良いことが特徴で、南向きの次に人気があります。
朝日と共に気持ちよく目覚めて1日をスタートさせることができるため、朝型の生活を送っている方にはメリットが大きいと言えます。
朝早くに洗濯をする習慣のある人なら、午前中は洗濯物も乾きやすく、効率的に家事を進められます。
その一方で、午後からは日差しが遠のいていき、冬場だと午後の早い時間帯から暗くなり室温が低下するところがデメリットとなります。
とはいえ、日中家にいる時間が短い方であればそれほど気にならないでしょう。
逆に、夏場は夜間の涼しさを残したまま朝を迎えられるため、爽やかに起床できます。
以上のことから、次に該当する方には東向きの部屋が向いています。

・朝型生活の方
・夏の暑さが苦手な方
・午後は家にいる時間が少ない方

西向きの家

西向きの家は、午後から夕方の時間帯に日当たりが良くなるのが特徴です。
朝方や午前中はあまり日が当たらないため、夜型の生活を送っていて午後までゆっくりと寝ていたい方におすすめです。
ただし、午後からは徐々に日差しが強くなっていきます。
特に夏場の西日は部屋に強烈な熱さをもたらすことから、日中家で過ごす場合は冷房が欠かせません。
また、日中家を空けていた場合は、帰宅後にクーラーをつけても西日によって上昇した室温を快適な温度まで下げるには時間がかかります。
暑さで夜寝苦しさを感じることが予想される場合には、就寝時間の2時間ほど前から冷房をつけておくのがおすすめですが、冷房代が高くなることは否めません。
反対に、冬場であれば西日によって部屋を暖かく保てるので暖房代の節約になります。
西日が気になる方は、窓を複層ガラスにしたりフィルムを貼ったりするなどの対策を行いましょう。
西向きの家に適しているのは、次のような方です。

・夜型生活の方
・冬の寒さが苦手な方
・日中は家にいることが少ない方

北向きの家

北向きの家は、1年中日が当たりにくいため寒くて暗いといったマイナスな印象を持たれがちですが、夏場は涼しくて過ごしやすいというメリットもあります。
日光の影響を受けにくいので家具や内装が日焼けする心配がなく、蔵書やコレクションの保管場所としても最適です。
また、北向きの家の場合、リビングは南側に配置することが多いことから、日当たりの良い南側にリビングを広く取ることもできます。
冬は日中でも照明が必要で暖房も欠かせないため光熱費がかさみやすいですが、夜寝るためだけに帰宅する方や、夜勤をしていて帰りは朝になる方にとっては、それほど大きな問題ではないでしょう。
さらに、北向きの家は日当たりが悪いことで価格が安い傾向にあります。
これらから、次に当てはまる方は北向きの家も住まいの候補として十分検討する価値があると言えます。

・南側に広いリビングを設けたい方
・購入費用を抑えたい方
・日中家にいる時間が少ない方

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南向きの家に固執して賃貸物件を探すのは避けよう

良い面ばかりに目を向けて南向き物件に固執しすぎることは避けましょう。
南向きと謳った物件でも日当たりが良いとは限らないからです。
また、人気のある南向きの家がネックとなるケースもあります。
続いては、南向きの家でも日当たりが悪くなるケースや南向き物件を選ぶ際の懸念点についてご紹介しましょう。

南向きの家でも日当たりが悪い場合とは?

1日を通して日当たりが良いとされる南向きの家でも、以下の場合は望むような日当たりが得られないケースもあります。

高い建物が希望の物件周りにある場合

南向きの部屋でさえあれば、満足のいく日差しが得られると単純に考えるのは止めましょう。
南側に高い建物があった場合、太陽を遮ってしまうため、望むような日当たりが得られない場合があるからです。
また、目の前に高い建物がなく、眺望が気に入って契約しても入居後に高い建物が建ち、日当たりが悪くなってしまうケースも考えられます。
日当たりが良くても、向かいの建物から部屋の様子が丸見えだったり、景観が悪かったりする場合、日中カーテンを自由に開けることができないかもしれません。
そういった場合、南向き物件に絞って選んだ意味がなくなってしまうでしょう。
安易に南向き物件に飛びつかず、周辺の住宅状況を確認する必要があります。

ベランダや窓際の構造が日差しの届きにくい設計になっている

南向きの物件で、周辺に日差しを遮る建物がなかったとしても望むほどの日差しが得られない場合もあります。
バルコニーやベランダなどが広くて奥行きがある場合は注意が必要でしょう。
日差しが室内の手前までしか届かず、日当たりの良い部屋ではなくなる可能性があるからです。
もしバルコニーやベランダが広く設計されているのであれば、内見の際に広さや奥行きを確認して、日差しが室内のどの程度まで届くかチェックしておくと良いでしょう。
また、ベランダに使用されている手すりの素材によっても日当たりが変わるのでチェックしておきましょう。
ガラス素材を使った手すりであれば、光を遮らず部屋の奥まで光が入り込みやすいです。
一方、素材がコンクリートなど日差しを遮るものであった場合、思ったよりも日当たりの悪い部屋になる可能性があります。

間取りによっては部屋全体に日差しが届かないケースもある

南向きの家であっても、間取りによって日の入り方が変わってきます。
もし窓に対して縦に長い部屋の場合は、窓付近に日は差し込みますが、部屋の奥まで日は届きません。
そのため、日当たりを見込んでリビングが南向きの物件を選んだとしても、窓際だけ明るく室内が暗いというケースもあるのです。
一方、窓の開口部分が横に長い間取りの場合は、部屋全体の日当たりは良くなります。
部屋全体に日差しを行き届かせたい場合は、南向きであっても間取りと窓がどのように設計されているか確認しておく必要があるでしょう。

南向き物件を選ぶ際の懸念点とは?

人気の南向き物件だからこそ、物件選びの際にネックになる場合もあります。
また、日差しの良さが売りの南向き物件ですが、日当たりの良さが問題になる場合もあるので確認していきましょう。

南向きの家は家賃が高い傾向にある

家賃は方角によっても差があり、南向きの家賃価格は高い傾向にあるとされています。
一般的に方角における家賃の額は北、西、東、南の順で高額になっていきます。
他の方角と同条件であっても、「南向き」というだけで家賃が高くなりやすいことは知っておきましょう。
立地や設備にこだわった場合は、さらに家賃が高くなるので、予算と条件を考慮して物件選びをする必要があります。

「人気の立地×南向き」の物件は需要が高く見つけにくい

立地が良い南向きの物件は需要が高いです。
そのため、空室が出てもすぐに契約者が決まり、なかなか思うような物件選びができません。
特に駅から近い好立地で日当たりの良い物件は多くの人から人気があるため、より見つけにくい傾向にあるでしょう。
南向きである条件も重要かもしれませんが、他にも部屋探しの軸となる条件を決めておくと効率良く物件探しができます。
譲れないポイントや妥協しても良い条件をあらかじめ決めておき、その中から絞っていくと良いでしょう。

日差しが強すぎて生活しにくいケースもある

好感視される日当たりの良さも、日差しによっては快適さを奪うものになります。
日差しの角度によっては眩しすぎて、日中生活しにくい場合も出てくるでしょう。
特に、夏場などは日差しも強く日照時間も長いため、部屋の温度も上がりやすいです。
真夏日などは夜になっても温度が下がりにくく、寝苦しさを伴うかもしれません。

余計なコストがかかる場合も

日差しが強い南向きの部屋は、日中照明をつける必要がない分、電気代は節約できるかもしれません。
しかし、先述したとおり、夏場などは温度が上昇しやすく熱中症のリスクが出てきます。
部屋が暑くなる分エアコンの使用頻度が高くなるので電気代も高くなりやすいでしょう。
また、日差しが強い南向きの部屋の場合、家具や床が紫外線で傷みやすいです。
室内で快適に過ごしたり、部屋や家具の状態を維持したりするために、遮光カーテンや断熱カーテンを用意する必要が出てくるでしょう。
また、日差しの強い日中は、カーテンを閉めっぱなしにする対策も必要かもしれません。

南向きを条件にすると選択肢を狭めてしまう場合もある

南向きにこだわって物件探しをしているとそこだけが重要視され、良い物件を逃してしまう可能性があります。
南向き以外の物件でも場所によって十分な日当たりを確保できる場合も多いです。
また、生活スタイルによっては、必ずしも南向きの物件だけがベストなものとは限らないでしょう。
「南向き」を条件にしていると、立地や家賃、設備が整っていて日当たりに問題ない物件を取りこぼす可能性があります。
選択肢を狭めないためにも、南向きだけにこだわらず自分に合った条件の中から選んでいくと良いでしょう。