新NISAの成長投資枠でどんな銘柄を選べばいいのか、多くの人が悩むところでしょう。本記事では、株式投資で成功して“億り人”となったDAIBOUCHOU氏による著書『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円:10日で学ぶ10年10倍株の探し方』(東洋経済新報社)より一部抜粋・編集して、「新NISAの成長投資枠で1億円を目指すために選ぶべき銘柄」について解説します。
「1億円」を目指すために選ぶべき銘柄は?
新NISAの成長投資枠で何を買えば良いのでしょうか。その答えは「割安成長銘柄」です。今も探せばあるのですが、成長企業でありながらも、なぜか株価が割安のまま放置されている銘柄です。
PER(株価収益率)が低く、ROE(自己資本利益率)が高くて、何らかの理由で人気がないような銘柄が、これに該当します。
理由はいろいろ考えられますが、たとえば2008年のリーマンショックの時のように、成長が期待されるのに、マーケット全体が大きく下げたために株価が下に引っ張られてしまい、割安になっているとか、小型株で市場の流動性がないために機関投資家などが買って来ず、割安のままになっている。
そういう銘柄が、成長投資枠で長期間保有して10倍高を狙うには、非常にうってつけだと思うのです。
私が投資している銘柄で言うと、中央自動車工業(8117)などはまさにその典型例と言っても良いかも知れません[図表1]。2024年5月2日時点の株価は5,550円の値がさ株ではありますが、PERは13.6倍です。チャートを見ればわかりますが、2022年5月12日に2,005円まで調整した後、2024年3月22日には5,940円という高値を付けています。
確かに、チャートを見る限りにおいては、高値を付けるまでの株価が一本調子に値上がりしているため、株価も相当割高になっているのではないかと思うところですが、実はまだPERは13.6倍なのです。またROEは17.2%ですから、かなり高いほうです。
日本企業の場合、「伊藤レポート」の影響もあって、ROEは8%を目指すということになっていますから、17.2%は優秀です。まさにPERが低く、ROEが高いという割安成長銘柄の典型例といっても良いでしょう。
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長い期間をかけて10倍高を目指す「割安成長株」に注目
この手の銘柄は案外、PERの水準が比較的低いままの状態で、株価がテンバガーになるケースもあります。建設技術研究所(9621)は、2012年7月の安値445円から、2024年1月に高値6,120円になったので、この11年半でまさにテンバガーになったわけですが、4,735円まで調整した同年5月2日時点のPERは10.8倍です。この会社のROEも13.3%と高い水準を維持しています[図表2]。
なぜ成長株が割安になるのでしょうか? 私なりにその理由を考えてみました。
中央自動車工業って何をしている会社かわかりますか? 自動車部品メーカーに見える社名ですが、コーティング剤など自社企画の自動車用品を販売している卸売業の会社で、自動車補修部品の輸出事業も行っています。黒子の存在で知名度が低い上に、IRに積極的ではありません。
建設技術研究所は、河川や道路に強みをもつ建設コンサルですが、そもそも建設は不人気業界です。事業内容もよくわからない。
また、この両社に共通していることは、業績予想が保守的なことです。しかも、上方修正の発表が本決算と同時か直前になることが多いのです。しかも、上方修正の結果、今期予想が横ばいから減益予想となると、見た目が悪い。前期の上方修正より、今期の横ばいから減益予想の悪印象が強く出て、株価が上がらないのです。
バリュートラップから抜け出せない割安株との違いは、PERが低く、ROEが高いこと、そして、成長企業でありながらも、小型株で流動性がないなど、株価が割安のまま放置されている理由が考えられることです。財務が良好なので、何らかの理由で株価が上がり始めると、多くの投資家の注目が集まって株価が上昇します。
中央自動車工業も、建設技術研究所も、直近の株価は調整気味ですが、PER10倍のまま長い期間をかけて10倍高を目指す「割安成長株」が、新NISAの成長投資枠での株式投資には向いていると思います。
専業投資家インフルエンサー
DAIBOUCHOU
※本記事は『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円: 10日で学ぶ10年10倍株の探し方』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。記載内容は当時のものであり、また、投資の結果等に編集部は一切の責任を負いません。