【9:20】保育室へ
検査の準備を終えたら、次に向かうのは保育室。「カウンセラーの先生がこんなに慌ただしく動くのか」と驚くくらい、とにかくたくさん動き、保育室中の子どもたちの様子を見て回ります。
子どもたちは原口さんを見つけると「原口先生!」と突進。おんぶや抱っこにも応じます。
原口さん「全園児が対象ですが、私がとくに見るのは2〜5歳児です。乳児はどちらかというと体の成長に重きをおくので、うちの園では作業療法士の先生が中心に見ます。私たち心理職は体というよりも言葉や表情、行動、感情に注目するので、それがはっきりとしてくる2歳以降がメインになりますね」
手にはコンパクトなノートとペンを持ち、気になったことをどんどん書き留めていきます。
原口さん「子どもの様子だけでなく、先生の園児への接し方で気になったことがあればメモします。あとは連絡帳も要チェックです。連絡帳では子どもの家庭での様子がわかるだけでなく、親御さんの様子も読み取れます。例えばいつもより書き込みが少ないなら『お母さんちょっとお疲れ気味なのかな?』と想像できます」
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【10:00】知能検査・採点
保育のタイミングを見て検査を受ける子をクラスから連れ出し、1対1の個別検査をおこないます。
知能検査や発達検査は保護者から直接相談を受けたとき、または子どもの様子で気になることがある場合に、保護者の了承を得て実施します。ただし検査結果がすべてではなく、あくまでその子の特性を理解するための一つの手がかりとして用います。
原口さんによると、幼児期に発達障害などの診断名がつく子どもは2〜4%程度。ただし診断前の“発達が気になる子”まで対象を広げると、その割合は15%程度まで増えると言われます。
検査が終了し子どもをクラスまで送り届けると、さっそく採点に取り掛かります。回答内容は正誤が明らかなものばかりではないため、子どものユニークな回答に判断を迷うこともあるのだとか。
検査結果については保護者と職員にフィードバックし、今後の園の保育や家庭での子育てに役立てます。なお、必要に応じて地域の支援機関の利用や医療機関の受診を勧めることもあります。