3.プリセプターは業務をこなしながら教育・指導を行う
プリセプターとして新人ナースの教育・指導を任されることは、一人前の看護師として期待されている証。しかし、プリセプターは教育・指導を行いながら、同時に通常の業務もこなさなければなりません。どんなに忙しくても新人に目を配り、仕事を教えていく役割を担っています。患者の命を預かる責任と後輩を育てる責任の両方を持つことになりますから、これまで以上に緊張感を抱えることでしょう。プリセプター自身が処置をするにしても、新人に任せるにしても、もちろんミスは許されません。ただでさえ多忙な看護師にとって、プリセプターもこなさなければならないのは、とても大変なことだと言えます。
ただ、新人教育の責任は個人だけが負うものではありません。新人看護職員研修ガイドラインでも「部署スタッフ全員が新人を見守り、幾重ものサポート体制を組織として構築することが望ましい」とされています。プリセプターの直接的なフォロー役として教育担当者やアソシエートナースが配置されている職場もあります。責任がある役割なのは事実ですが、必要以上に気負ってしまう必要はありません。また、担当となる前にあらかじめ準備をしておくことで、その負担やプレッシャーは変わってきます。例えば自施設で行われるプリセプター向けの研修に積極的に参加したり、都道府県・関係団体等が実施する実地指導者研修プログラムなどを活用したりすることも有効です。
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4.プリセプターとして求められる指導力
ひとくくりに新人といっても、仕事の覚えが早い人もいれば、遅い人もいます。ですから、それぞれのペースに合わせて教育・指導を行う必要があります。新人、ベテランなどの経験に関わらず患者さんの命を預かっていることに変わりはありません。状況によって優先順位を見極めなくてはなりませんし、緊急時には素早く適切な対応や処置が求められます。他のプリセプターが担当している新人はのみこみが早く、一度教えたことはしっかり身につけてきているのに、自分が担当している新人はマイペースといったこともあるでしょう。そんなときには「他の新人はできているのに!」「この程度はできて当たり前なのに!」といった思いから、プリセプティに強く当たってしまいがち。しかし、ただ厳しく責めるだけではプリセプティが萎縮してしまい、かえって業務に悪影響を及ぼすことも起こり得ます。
コミュニケーションを積極的にとりながら、一つひとつの課題をどうすれば解決できるのか、一緒に考えていくのがよいでしょう。特に新人が初めてミスをしてしまったときは、ひどく落ち込んでしまいがちなもの。そんなときは同じ失敗をしないための対策を考えるとともに、精神的なフォローをすることも重要です。
もちろん、一人で解決するのには難しい問題に直面することもあるでしょう。そういった場合には、うまくいっているプリセプターの話を聞いてみたり、部署を統括する教育担当者や看護師長などに速やかに相談して助言を仰いだりと柔軟な姿勢を取ることも大切です。