男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:「デート中、女性はここを見ている!」33歳経営者の男がアプリでマッチしても、3度目がない理由
この関係は、一体何なんだろう…。
健太郎の家からの帰り道、何とも言えないモヤっとした感情を抱きながら、私はタクシーに乗り込んだ。
健太郎との関係は、もうすぐ半年になる。
お互いの家を行き来もするし、ほぼ毎日連絡を取り合っている。これだけ会っているので、双方別の異性の影がないことも知っている。
しかも最近は慣れてきたのか、体の関係が毎回あるわけでもなく、ただ会ってご飯を食べて解散…ということも多い。
でも別に、私たちは付き合っているわけではない。
果たしてこのまま待っていれば…いや、続けていれば関係は変わるのだろうか?
もうすぐ冬が来る。それまでには何とか答えを出したくて、少し焦っている自分がいる。
Q1:初デートから数回目のデートまで。男が連絡をしてきた理由は?
健太郎と知り合ったのは、友人に呼ばれていった食事会の席だった。正直に言うと、その食事会はハズレだったと思う。一次会はそんなにも盛り上がらないまま、二次会になんとなく流れる。少しだけ顔を出したら、帰ろうと思っていた。
しかし、その二次会からやって来たのが、私より2つ年下で30歳の健太郎だった。
「たまたま友達が近くで飲んでるみたいで。もう一人、男合流しても平気?」
そう幹事に言われ、女子たちはうなずく。
「もちろん」
― あまり期待できないんだろうな…。
そう思っていた。しかし二次会から参加した健太郎は身長が高く、塩顔系のイケメンだった。
― あれ?これは良いかも。
私のこの勘は当たったのか、当たっていないのかはわからないけれど、健太郎は話も面白くて、楽しかった。結局この日は連絡先だけ交換して解散したけれど、1週間後くらいに、健太郎から個別で連絡が来た。
「真由さん、今度食事でもどうですか?」
これが、すべての始まりだった。
初めての二人でのデート。健太郎は神楽坂にある美味しいピザ屋さん『400℃ PIZZA TOKYO』へ連れていってくれた。
「美味しい…!」
「でしょ?ここさ、お気に入りで。真由ちゃん気に入ってくれるかなと思って」
初デートでも、優しい健太郎。でもこの時、私は「彼のことが大好き♡」だったわけではなかった。
彼は今年で30歳。結婚願望があるのかないのかもわからないし、この先交際に発展するのかどうかもわからない。
そんなことを考えていると、健太郎は本音を話し始めてくれた。
「俺さ、実はすごい人見知りで。あと人を好きになるのに時間がかかるんだよね…」
ブルーチーズとマスカルポーネ、そして食べる直前にかける蜂蜜が抜群の相性を誇る「FNT」を食べながら、私は考える。
― これは、ガードを張られたのかな?
「そうなんだ」
それだけ返事をすると、健太郎はさらに続ける。
「真由ちゃんのこと、いいなと思ってる。だけど付き合うまで、もう少しこうやって会えると嬉しい」
「…わかった」
正直、「わかった」わけではない。でも別に私も焦って関係性を進める気持ちもこの時はなかった。
そしてこの初デートでは、言葉通りただ楽しく飲んで食べて、会話をして解散となった。
ただ、私は何となく気がついていた。「これは発展しないパターンだな…」と。
しかしこの後も、健太郎のほうから積極的に連絡が来たのだ。
◆
初デートでは何もなく終わったので「次は、少し進展するかな…」と淡い期待を抱いて二度目のデートに挑んだ私。
しかしそのデートでも、私の思惑は大きく外れることになる。
「真由ちゃんは、どういう人が好きなの?」
「私の好きなタイプは…」
恋愛に関する質問もしてきたし、このデートにいたるまで、何度も健太郎のほうから連絡が来た。
しかし二度目のデートでも何もなく、解散となり私は完全に肩透かしをくらう。
― …え?何がしたいの??本当にこのまま待っていたら、進むの?
そんな疑問がフツフツと湧き上がる。そしてこの後も、私たちは「ただの友達かな?」と思うようなデートを繰り返した。
しかし4回目のデートで、事態は少し動くことになる…。
Q2:男から見た、この関係性の答えはなに!?
四度目のデートの帰り道。この日も、私はいつも通り何もなく解散かと思っていた。しかしお互い酔っていたせいかもしれない。そもそも「この関係は何なの?」と苛立ちと焦る気持ちが募っていたことも大きかったかもしれない。
いろいろピースがはまったのか、その日の夜、私たちは体を重ねることになる。
でもその時に、私はちゃんと悟っていた。
「これで、この関係は終わったな」と。
付き合ってもいない段階で体を許したらどうなるかなんて、教科書にも載っているレベルでわかること。
去り際ぐらいは美しくしようと思い、私は泊まらずにそそくさと帰宅した。帰宅して夜風に当たりながら、心のどこかで「これで終わっても、まぁいいかな」と思っていた。
「健太郎のことが大好きか?」と問われると答えはわからないし、こういうカジュアルな関係で終わっても悔いはなかったから。
しかし、ここからさらに、私と健太郎の関係は迷宮入りすることになる。
― Kentaro:真由ちゃん、おはよう。今日は何してる?
翌朝、LINEを見て私は思わず「え?」と声が出た。
昨晩で私たちの関係は終わったと思っていたのに、翌日から健太郎は毎日マメに連絡をくれるようになったのだ。
― Kentaro:おはよう。今夜ご飯でもどう?
― 真由:いいね。何時にする?
基本的に連絡はほぼ、向こうから来る。別に体の関係だけなわけではない。お互いの家に行ったり来たりもするけれど、食事をして帰ることもある。
そして会えない日には、健太郎のほうから電話がかかっていて、1時間くらい話すこともある。
基本的に私から連絡することはないのに、とにかく毎日連絡が来て、1時間でも会えるならば、私に会いにくる健太郎。
「真由ちゃんに会いたくて」
それだけ言って、本当に顔だけ見て帰ることもある。
― この関係って…なに?
何度もそう思ったけれど、別に私たちは付き合っているわけではない。
そして私が一番「は?」と思ったのは、彼が友人の結婚式に参列した帰りに、私の家に寄った時のことだった。
「結婚式どうだった?」
スーツのネクタイを緩める健太郎に、私は何の気もなしに尋ねた。すると、健太郎は私の目の前で平気でこんなことを言ってのけた。
「俺はきっと、結婚とかできないんだろうな〜。今は仕事も忙しいし、そういうの考えられないや」
― なにコイツ…。私の目の前で、よくそんなことが言えるね?
怒りとともに、呆れてしまった。
こんなことが日常茶飯事で起こるし、都合の良い関係であることはわかっている。でも“都合が良い”割には、向こうが私に充てる時間や労力が大きすぎる。
それに毎回体の関係があるわけでもないし、もはや最近は老夫婦のような落ち着き感まで出てきてしまっている私たち。
― この関係、続けていて意味があるのかな…。
何度もそう思うけれど、お互い一緒にいて居心地が良い。話も合うし自然体でいられる。
でも私の32歳という年齢を考えても、そろそろ健太郎をスパッと切って次に進むのか、この関係を発展させるのか決断しなければいけない。
― このままズルズルと関係を続けても、きっと幸せにはなれない。
そうわかってはいるものの、都合の良い関係にしては重すぎる彼の言動。
果たして、健太郎はどう思っているのだろうか?この先どうなるのか、答えがわからずにいる。
▶前回:「デート中、女性はここを見ている!」33歳経営者の男がアプリでマッチしても、3度目がない理由
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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男は一体何を考えている?