イチゴを上手に育てるためのコツ

一季なりイチゴは低温にあうことで花芽ができるので、苗は秋に植え付けます。茎の根元(クラウン)を埋めないように植えることが大切です。

イチゴを育てる土を用意します

■最も手軽なのは市販の野菜用培養土を使うことです。生育に必要な肥料(元肥)があらかじめ入っており、イチゴをはじめ、さまざまな野菜に幅広く使えます。培養土の中には、イチゴに特化して肥料のバランスなどを調整した、専用の土もあるのでそちらもおすすめ。

■自分で土をブレンドする場合は、【赤玉土(小粒)6〜7:腐葉土3〜4】の割合で混ぜたものをベースにし、日当たりがよく、土の乾きやすいベランダでは、ここに水分や肥料分を蓄えやすいバーミキュライトを加えます。反対に水はけが悪いときは、多孔質で排水性や通気性の高いパーライトを加えます。さらに、効き目が緩やかで長く持続する緩効性の肥料を元肥として加えます。「野菜用」と書かれたものであれば、元肥にも栽培の途中で与える追肥にも向いています。

よいイチゴ苗を選びましょう

植え付けに適しているのは、本葉が3〜4枚以上出ていて、葉にハリがありきれいな緑色のものです。葉が黄色っぽく変色していたり、茶色い斑点が出ていたりするものは、病気や害虫の心配があり、うまく育たない可能性があります。

イチゴ苗の植え付けのポイント


Lipatova Maryna/Shutterstock.com

2株以上植える場合は、苗どうしの間隔を20cmほどあけます。イチゴの苗には、ランナーと呼ばれる茎を切り離した跡があります。株元から斜めに出た短い茎がランナーで、その反対側に花や実がつくので、向きをそろえます。植える際は、株の中心の新芽が集まった部分(クラウン)を埋めないように気をつけましょう。ジョウロでたっぷりと水やりして、植え付けは完了です。

イチゴのお手入れ

■置き場所/日当たりのよい場所にプランターを置いて育てましょう。

■水やり/やり過ぎても、少な過ぎてもよくないので、こまめに土の状態をチェックして、表土が乾いていたらプランターの底から流れ出るまでたっぷりと与えるようにします。冬の間も、水やりは忘れずに続けましょう。

■追肥/イチゴが成長を始める2月中旬頃に、固形の緩効性肥料、または液体肥料を追肥します。最初の花が咲いたら同様に2回目の追肥を行い、その後は収穫が終わる時期まで定期的に追肥を続けましょう。追肥の量や頻度は製品によって異なるので、パッケージに記載されている通りに与えます。

■ランナーの処理/イチゴの株から伸びてくる細いヒモのような枝を「ランナー」といいます。ランナーの先には新芽が育ち、それが土に根付くと、新しい株になります。畑で育てている場合は、周りの地面に勝手に根付いて成長することもあります。ただし、実がなり始めるころにランナーを伸ばし放題にしておくと、ランナーのほうに養分をとられて実つきが悪くなることがあるので、収穫期の間は株元からランナーをハサミでカットしましょう。収穫が終わる6月中旬頃になったら、ランナーを伸ばし小苗を育てます。

イチゴの人工授粉


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イチゴは花の中心にある雌しべに雄しべの花粉がつき、受粉することで、実が大きくなります。イチゴの雌しべは、花の中心の黄色い三角形の部分にたくさん集まっていて、雄しべはそれを取り囲むように並んでいます。花粉のたくさん出る朝のうちに、毛のやわらかい筆などで花の中心をそっとなでて、雌しべに雄しべの花粉をまんべんなくつけます。一つ一つの雌しべに花粉がつくことで実が大きくなるので、筆や梵天の先を花の中心にそっと当て、くるくるとなでるようにして授粉を行います。授粉にムラがあると実がうまく育たないので、まんべんなくていねいに行います。特に自家結実性のない‘キューピットドロップ’は、他の品種の雄しべを受粉させる必要があります。

イチゴの収穫


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開花から収穫までは、30〜50日ほどかかります。へたのすぐ下まで赤く色づくと完熟の印。ジャムなどにする場合は熟れたものから収穫し冷凍保存し、十分な量になったら調理します。

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イチゴの増やし方


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収穫期が過ぎたらランナーを伸ばします。ランナーには間隔をあけていくつかの子株がつきます。親株に最も近い子株は、その後の成長が不安定になりやすいので、次の新しい苗候補には向きません。親株から数えて2番目以降の子株を選びます。培養土を入れた3号ポリポットの上にランナーをつけたまま子株を置き、株元をUピンなどで押さえて土に固定します。水やりをしながら1週間ほど経つと、子株から根が伸びて土に根付きます。根付いたらランナーを切り離します。子株は日当たりと風通しのよい場所に置き、水やりを続けながら、秋の植え付けまで育てます。