ふじいなおみ
30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。
番組では毎週たくさんの文房具が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ商品をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。
大丸藤井セントラルで販売した「インクをより楽しむ紙」
今回は、2024年10月6日OA の告知コーナーでご紹介しました、「インクをより楽しむ紙」をご紹介します。
万年筆インクはもう飽和状態!?
あなた、使いきれないほどの万年筆インクを持っていませんか?
私のインク台帳には今までに手にしたインクを日付順に番号をつけて管理しています。この間、850という数字の横にインクの名前を書きました。その先にも書いた記憶があったような……(汗)。そんな私が今さら思うのは、「インクはコレクションするものではない、使ってなんぼだ!」ということです。
年始に立てた目標は「文具を使って楽しむ」でした。なので今年は、万年筆で行うカリグラフィーやインクを使って描いていく水彩画のワークショップに積極的に足を運びました。
全国各地で文具イベントや人が集まって体験をする機会も増えてきて、
『すでにみんなインクをたくさん持っているよね! だから今度は楽しく使おうよ!』
それが今の万年筆インクの動向だと思っています。
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私のインクの楽しみ方の1つ
化学を学生時代に専攻していた私にとって、いま夢中になっているインクの胸キュンする楽しみ方がこれです。
「紙によってインクの発色が異なる」
今年に入ってから、インクをコレクションではなく実用品にすべく、色見本のフォーマットを変えたのです。その時にメインに据えたコンセプトは、「紙による発色の違いを記録したい」でした。
万年筆での筆記に適していると言われている紙を16種類集め、プラスの「ハンブンコ」という用紙を簡単に半分の大きさにカットできる商品を使ってA8サイズにして、1枚の台紙に8種類ずつ、1色につき2枚・16種類の筆記台紙を作りました。
インクの塗り方は、文具王が紹介していた「ステンレスの定規を使いインクを塗る」方法を実践しています。ステンレスはインクを吸い込まないので、定規表面についたたっぷりのインクを紙を塗ることができるのです。
そうすると見えてきたことの一つが、「モスグリーンのインクは紙によって緑みが強い時と茶色っぽく発色する時がある」ということでした。
秋田のとみやさんの「バッケ」筆記見本。全部同じインクです。なので色の違いは紙の違いによるものなのです
代表的なのが、秋田のとみやで出しているオリジナルインクの「バッケ(ふきのとう)」と、今は販売していませんが、札幌の大丸藤井セントラルで出したオリジナルインクの復刻版「クローバー」です。
それ以外にも青っぽいインクや色が薄めのインクは単色ではなく部分部分によって見える色が変わる(セーラー万年筆の石丸治さんの言葉をお借りするならば「揺色(ようしょく)」)の場合が多いけれど、揺色になりやすい紙となりづらい紙があるということも以前より見えてきました。