保険買取りサービスを利用するにあたってのFPとしての注意点
保険買取りサービスを利用するにあたって注意すべきことがいくつかあります。
まず一つ目は、保険買取りサービスを安易に利用しないことです。
通常は、保険を解約せずに最後まで契約を継続した方が金銭的には有利になるということを覚えておきましょう。また、生前に保険を売ってしまうことで、遺族に対する保障がなくなり、それによって残された家族が不利益を被る可能性も出てくるでしょう。
また、保険会社にお金を借りることができる契約者貸付制度、重篤な状態の場合に生前に保険金を受け取ることができるリビングニーズ特約などもあるので、ご自身の病気の状態、保険契約の内容を確認した上で、サービスを利用するかどうか考えることが大切です。
二つ目は、業者の安全性を調べることです。
日本において保険買取りサービスはまだまだ一般的ではありません。欧米の例でもお伝えしましたが、ライセンス制度など体制整備が整っていない場合、詐欺や悪質な業者が増える可能性があります。またデメリットでも話しましたが、買取り金額の相場がわかりづらいため、買取り金額を不当に安く見積もってくる業者がいる可能性もあります。
現状、安全性を調べることは客観的な基準がないので簡単ではありませんが、まずは長くサービスを扱っている、大手が取り扱っているなどの基本的な部分から会社の安全性を見ていくとよいかもしれません。
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保険利用についての新たな選択肢として
がんなどの大きな病気に罹ったとしても、医学の発達で患者が亡くなるまでの期間が延びています。これ自体は喜ばしいことですが、それに伴い治療費や通院交通費、患者の介護を行うことによる家族の収入減少など、以前よりも経済的負担は増加しています。
また少子高齢化が加速し、それに伴い高齢者の治療費の自己負担割合が増える法改正も起きており、今後日本において治療費が増加することは避けて通れない事態となっています。そのような状況で、保険利用の新しい選択肢が増えたことは、消費者にとって喜ばしいことだと言えます。
日本は「世界一の保険大国」と言われるほど、保険加入率が非常に高い国です。もちろん上手に使えばという前提ではありますが、それだけこのサービスの恩恵を受けることができる人が多くいるともいえます。保険買取りサービスが今後日本でどのように広がっていくのか、注目されるところです。
松本 耕太郎
ファイナンシャル・プランナー