5. 給与明細のよくある質問
最後に給与明細のよくある質問にお答えします。
Q1. パートで扶養内で働きたいのですが、給与明細のどこを確認すればいいですか?
A1. 所得税の場合は「課税対象累計額」、社会保険の場合は「総支給累計額」を確認してください。
所得税の配偶者控除を受けたい場合は、通勤手当などの非課税となる手当を除いた「課税対象累計額」を確認してください。健康保険や厚生年金保険の扶養内で働きたい場合は、通勤手当などを含む「総支給累計額」を確認してください。
なお、扶養についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ご確認ください!
>扶養控除とは? 配偶者控除や「103万円の壁」などを解説
Q2. 給与明細をもらっていない場合はどうすればいいですか?
A2. 給与明細には交付義務があります。担当部署に確認を!
給与明細(支払明細書)を渡すことは所得税法第231条で義務付けられています。
「居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。」
─所得税法第231条
これはパート・アルバイトなどの雇用形態は問いません。もし「給与明細をもらっていない」「もらったことがない」という場合は、まず社内の担当部署(経理部もしくは総務部)に確認しましょう。それでも対応してもらえない場合は、管轄の労働基準監督署(労基)や税務署に相談してみてください。
Q3. 給与明細は保管しておいたほうがいいですか?
A3. 給与明細は最低3年保管することをおすすめします。
給与明細は紙・データいずれの形でも構いませんので大切に保管しておきましょう。給料や残業手当の未払いがあった場合に3年前*まで遡って請求できますので、最低3年は保管しておきたいものです。
*賃金の請求権の時効は2年間でしたが、2020年4月より期間が延長されました。
そのほかにも次のようなケースで給与明細を利用できます。
・確定申告やローン申請などで所得金額を証明しなければならないとき
源泉徴収票や所得証明書、住民税決定通知書(納税通知書)を利用するのが一般的ですが、これらの書類がない場合は給与明細を利用できます。
・厚生年金保険の加入期間を証明しなければならないとき
万が一年金記録が失われた場合、厚生年金の加入期間を証明するために利用できます。
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6. まとめ
給与明細は雇用契約どおり、勤務実態どおりに賃金が支払われているかよく確認したうえで、最低3年間は保存する習慣をつけましょう。
給与明細のチェックポイントまとめ
・給与明細の「勤怠」は勤務実態を正しく反映しているか
・給与明細の「支給」は雇用契約や勤怠を正しく反映しているか
・給与明細の「控除」は納めるべき保険料や税金が未払いになっていないか
・給与明細は最低3年間保管する
この記事では給与明細に記載されている一般的な項目について解説しました。書式や表示項目は会社によって異なるため、給与明細の内容について不明点や懸念点がある場合は、勤務先の担当部署に相談してください。