日経平均株価が1990年のバブル期以降33年ぶりに高値水準をつけた2023年。とはいえ、物価高なのに給与はあまり増えず、景気が良くなっている実感を持てないという人も少なくないでしょう。そんな中、近年は、会社が副業を認める流れにあり、ダブルワーカーが徐々に増加しています。ダブルワークで収入が増えると社会保険料の負担はどうなるでしょうか?ここでは、ダブルワークをする人の「副業先の会社」での社会保険の加入が必要になるのかどうか、手取り収入を減らしたくない場合の対処法など、押さえておきたいポイントや注意点を見ていきましょう。
社会保険の種類
社会保険とは、誰もが加入しなければならない公的な保険です。病気やケガ、高齢、介護などのさまざまなリスクに備え私たちの生活を保障するもので、以下のようなものがあります。
年金保険
老後の生活を支えてくれる老齢年金や、病気やケガで障害を負った時の障害年金、死亡した時に残された遺族の生活を守る遺族年金などです。
健康保険
医療機関を受診する際の自己負担が3割になり、治療費の負担を減らすことができます。また、出産時の出産育児一時金や傷病で働けない場合の傷病手当金などの保障があります。
介護保険
65歳以降で、要介護や要支援認定を受けた方が介護サービスを利用する際の費用負担を軽減するための保険です。40歳以上の方が加入します。
上記に加え、労働保険(雇用保険・労災保険)を含めたものを広義での社会保険とも言いますが、ここでは、話をシンプルに分かりやすくするために上記3つの社会保険に関して加入要件などを見ていくことにしましょう。
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ダブルワークをする時の社会保険の加入要件は?手取りを減らさない方法
本業と副業に関する疑問
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ダブルワークをすると、どちらの勤務先でも社会保険に加入しなければならないという場合があります。せっかく副業をしても保険料の負担が増えると、手取り収入が減ってしまい困るなぁと考える人も多いでしょう。では、どのような場合に、副業先の社会保険に加入しなければならないのでしょうか。社会保険の加入要件は、働き方によって定められています。勤務先の従業員数で基準が2つに分かれますので、順番に見てきましょう。
【従業員数が101人未満の企業】(※2024年10月以降は、従業員数が51人未満の企業)
次の要件を全てみたすと副業先の社会保険に加入することになります。
・常時雇用されている従業員※
・週の所定労働時間が常時雇用されている従業員の4分の3以上かつ、1カ月の所定労働時間が常時雇用されている従業員の4分の3以上である者
※常時雇用されている従業員とは、期間に定めがなく雇用されている人のことです。もしくは、過去1年以上の期間において継続して雇用されていたり、雇用時から1年以上の継続雇用が見込まれたりする人を指します。
つまり、一般に正社員の労働時間は40時間ですので、週に30時間以上働く常時雇用者は、その会社で社会保険に加入することになるわけです。
【従業員数が101人以上の企業】(※2024年10月以降は、従業員数51人以上の企業)
次の要件を全てみたすと副業先の社会保険に加入することになります。
・週の所定労働時間が20時間以上
・2カ月を超える雇用の見込みがある
・賃金月額が8万8000円以上
・学生ではない
こちらの加入要件は、前述の101人未満の企業に比べると要件となる労働時間が短くなっていることが分かります。この基準を「年収106万円の壁」ともいい、パートやアルバイトの主婦(夫)が配偶者の扶養内で働きたい時に意識されます。
このように、いずれかの要件に該当する場合、その勤務先で社会保険の加入義務が生じ保険料を負担しなければなりません。よって、もし副業先で社会保険に加入せずに手取りを減らさないようにしたい場合、次の2点を検討することになります。
年収を抑える
従業員数が101人以上の企業に勤めている場合は、賃金月額が8万8000円未満となる働き方にします。なお、残業代や休日出勤・深夜労働の割増賃金、賞与、通勤手当などは含まれません。
労働時間を抑える
従業員数が101人以上の企業に勤めている場合は、週の所定労働時間を20時間未満に調整します。従業員数が101人未満の企業であれば、週の所定労働時間は30時間未満です。しかし、労働基準法の観点からもメインとなる仕事を持ちながら、副業として週30時間以上勤務することは考えにくいと思われます。
当然に、アルバイトやパートを掛け持ちしている場合もそれぞれの職場の労働時間が週20時間を超え、月8万8000円以上もらう場合は、いずれの社会保険にも入らなくてはなりません。
配偶者の扶養に入る
仮に、ダブルワークをしてもいずれの要件にも当てはまらなければ、どちらの勤務先の社会保険にも加入しない(加入できない)ということになります。ただ、社会保険は国民皆保険といって、国民全員に加入義務があります。よって職場の社会保険の加入要件を満たさない場合は、市区町村役場で、社会保険(国民健康保険・国民年金など)の加入手続きをしなければなりません。勤め先で社会保険に加入すると会社が保険料を半分負担してくれますが、自分で加入するとなると全額自己負担になってしまいます。
そういった働き方をしている場合は、家族の扶養に入ることも選択肢です。結婚していて、配偶者が会社に勤めているのならその扶養に入ることができます。ただ、扶養に入るためには一定の要件を満たさなければなりません。それがいわゆる「130万円の壁」というものです。つまり、配偶者の扶養に入るには、ダブルワークで得られる収入のすべてを合算した年収を130万円未満、月収にすると10万8333円に抑える必要があります。
なお、配偶者が個人事業主の場合、扶養という概念はありません。夫婦それぞれが、国民健康保険や国民年金に加入することになります。また、親や子どもが勤務先の社会保険に加入しているのなら、その扶養に入ることができる場合もあります。