フィカス・プミラの栽培環境
Rose Marinelli/Shutterstock.com
日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日照を好みますが、夏の直射日光と乾燥で葉焼けし、株が傷むので、半日陰~明るい日陰の環境で育てましょう。
【日当たり/屋内】耐陰性が強く、インテリアグリーンとして楽しむこともできます。ただし、あまりに暗い場所では間のびしてか弱い姿になり、枯死することもあるので、室内に飾って楽しむ場合は日差しが差し込む窓辺などに置いてください。
【置き場所】水はけ、水もちのよい土壌を好みますが、丈夫であまり条件を選ばずよく育ちます。風通しがよく、エアコンの風が直接当たらない窓辺などで管理しましょう。
耐寒性・耐暑性
暑さには強いのですが、寒さには弱い性質をもっています。最低気温が0℃以下になる地域では、鉢栽培にして冬は室内や温室などに移動して管理しましょう。越年して春の生育期を迎えたら、再び戸外に出します。急に強い直射日光を当てると日焼けすることがあるので、徐々に慣らしていくとよいでしょう。
(広告の後にも続きます)
フィカス・プミラの育て方のポイント
用土
funnyangel/Shutterstock.com
【地植え】
植え付けの約2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料少量を混ぜ込んでよく耕してください。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
草花用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。
水やり
cam3957/Shutterstock.com
水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、基本的には株元の地面を狙って与えてください。ただし、葉が乾燥しやすいので、雨が当たらない場所では時々上から水をかけて葉水をしてやると元気に保つことができます。
真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。
また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。
【地植え】
根付いた後は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意しましょう。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
肥料
Sarycheva Olesia/Shutterstock.com
【地植え・鉢植えともに】
春から秋にかけての生育期に、1カ月に1度を目安に、液体肥料を与えます。ただし、暑さが厳しくなる7月下旬〜9月中旬にかけては施肥を控えましょう。
注意する病害虫
nechaevkon/Shutterstock.com
【病気】
フィカス・プミラはほとんど病気の心配はありませんが、褐斑病、すす病を発症することがあります。
褐斑病は、かびによる伝染性の病気です。主に葉に褐色またはくすんだ茶色の斑点が現れ、下葉から枯れ上がっていきます。雨が多い時期に発生しやすいのが特徴です。発症した葉を見つけたら、早々に切り取って処分し、周囲に蔓延するのを防ぎましょう。適用する薬剤を葉の表と裏に散布して、防除します。
すす病は、一年を通して葉や枝などに発生する病気です。葉に発生すると表面につやがなくなり、病状が進むと黒いすすが全体を覆っていき、見た目にも不快に。また黒いすすが葉に広がると光合成がうまくできなくなり、樹勢が衰えてしまいます。カイガラムシ、アブラムシ、コナジラミの排泄物が原因ですす病が発生するので、これらの害虫を寄せ付けないようにしましょう。込んでいる枝葉があれば、剪定して日当たり、風通しをよくして管理します。
【害虫】
フィカス・プミラに発生しやすい害虫は、ハダニやアブラムシなどです。
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
フィカス・プミラの詳しい育て方
苗の選び方
フィカス・プミラの苗を選ぶ際には、葉色が鮮やかで葉裏にも病害虫の痕跡がなく、茎がしっかりとして姿がよいものを選ぶとよいでしょう。
植え付け・植え替え
OlegDoroshin/Shutterstock.com
フィカス・プミラの植え付け・植え替えの適期は、5〜7月です。ただし、植え付け適期以外にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。
暖地では、環境に合えば植え替える必要はありません。それ以外の地域では、霜が降りる前に掘り上げて鉢に植え替え、室内や温室などに移動して冬越ししましょう。越年して春に生育期を迎えたら、再び戸外に植え直します。
【鉢植え】
鉢で栽培する場合は、入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢の中に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。
鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくし、地上部の枝葉も切り戻して元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。
日常のお手入れ
Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com
【葉水】
真夏など乾燥する時期は、ハダニが発生することがあります。予防するには、葉の表と裏に霧吹きで水をかけるのがおすすめです。
【剪定】
フィカス・プミラはつるを旺盛に伸ばして生育するので、株姿が乱れてきたら適宜切り取り、バランスのよい姿を保ちましょう。
【冬越し】
暖地では戸外でも越冬しますが、最低気温が0℃以下になる地域では冬越し対策が必要です。地植えにしている場合は掘り上げて鉢に植え替え、霜がおりる前に室内や温室などに移動しましょう。
増やし方
Kunlanan Yarist/Shutterstock.com
フィカス・プミラは、挿し木で増やすことができます。
【挿し木】
挿し木とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し木ができないものもありますが、フィカス・プミラは挿し木で増やせます。
フィカス・プミラの挿し木の適期は、5〜6月です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(さし穂といいます)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚取ります。3号鉢を用意して新しい培養土を入れ、水を入れて十分に湿らせておきます。培養土に穴を開け、穴にさし穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。芽が出て順調に生育し、根が回ってきたら植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
(広告の後にも続きます)
フィカス・プミラをハイドロカルチャーで楽しむ方法
DimaBerlin/Shutterstock.com
ハイドロカルチャーとは、粘土を高温で焼いて発泡させたハイドロボールを培養土の代わりに用い、植物を植え付ける方法です。無菌で清潔なので、特にインテリアで栽培したい時に利用するのがおすすめです。
まずは、フィカス・プミラの苗をポットから出して、根を丁寧に洗って土をすべて落とします。ガラス製の容器に根腐れ防止剤を入れ、ハイドロボールを少量入れて土を落としたフィカス・プミラの苗を入れます。ハイドロボールを少しずつ足しながら、苗がぐらつかなくなるまで入れ、最後に1/5ほど水を入れます。以降は、容器に水がなくなり、2、3日経った頃に水やりをして管理します。
フィカス・プミラを栽培する場合の注意点
Nigita/Shutterstock.com
フィカス・プミラは育てやすい植物ですが、栽培にあたってはいくつかの注意点があるのでご紹介します。
葉がパリパリになることがある
フィカス・プミラの葉がパリパリの触り心地になってしまうのは、乾燥や水不足が原因と考えられます。水やりしているのにパリパリになる場合は、根詰まりしている可能性があるので、根をくずして植え替えてみてください。
インテリアグリーンとして栽培する場合はエアコンの風があたらない場所に置きましょう。乾燥しやすい時期はこまめに葉水して、湿度を保つようにしておきます。
樹液でかぶれることがある
フィカス・プミラの樹液に触れると、かぶれることがあるので要注意。特に敏感肌やアレルギー体質の方は、剪定時にゴム手袋を着用しておくのが無難です。服についた場合も落ちにくいので、作業の際は十分注意しましょう。
地植えは増えすぎることがある
フィカス・プミラは暖地であれば地植えしたままで越冬できます。ただし繁茂力が強いので、放置しているとフェンスや壁を這いつくしてしまうことも。気根(付着根)を出して這い上がり、壁を傷めることもあるので注意が必要です。繁茂する範囲をコントロールしたい場合は、5~10月の生育期ならどこで切ってもよく、強めに切り戻してもかまいません。
斑入り品種の斑が消えることがある
フィカス・プミラは斑入り種が人気ですが、斑が消えて緑葉になることがあります。それは、日光不足か先祖返りが原因。日当たりのよい場所で管理することを心掛けてください。また先祖帰りした葉をも見つけたら、すぐに切り取りましょう。そのままにしていると緑の葉が増えていく一方になるので、早めに対処しておきます。
フィカス・プミラは室内でインテリアグリーンとしてもガーデニングにもおすすめ
Mr.Yotsaran/Shutterstock.com
フィカス・プミラは、美しい葉姿を楽しむカラーリーフです。寄せ植えの引き立て役として重宝しますし、壁面を覆い尽くせば十分な存在感を発揮します。庭やベランダ、インテリアに迎え入れてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。