薬膳の知恵できれいに。今回はからだの内側からのうるおい補充と免疫力を上げる食材を使った作り置きもできる、常備菜レシピをご紹介。レシピは、きのこたっぷり豚そぼろです。
秋が深まり、晩秋の色が濃くなってきました。
立冬(2024年は11月7日)後は、特に秋の寒暖差が最も大きいといわれる季節です。
1年のサイクルを1日に置き換えていうと、春は「朝方」、夏は「真昼」、秋は「夕方」。晩秋は「夕方から夜に移り変わるころ」となります。
インフルエンザなどの感染症も気になり始めます。湿度が高いとウイルスは空気中の水分を含んで重くなり、地面に落ちやすく、ウイルスの生存率が低下するそうです。なので湿度が低くなり、ウイルスが空気中の水分を含みにくくなると、空気中に浮遊している時間が長くなり、ウイルスが多くなるため、体内に入りやすくなります。
健康な状態であれば、ウイルスが侵入しても、体外へ排出する機能が働いて排除しますが、季節の変わり目で体調をくずしがちになり、免疫力が下がると、侵入したウイルスを退けることができなくなります。
今年は夏が長く、季節が秋に変わっても夏日が続いてたっぷり汗をかいたので、私たちのエネルギーである「気」がたくさん消耗されました。「気」が消耗された状態は「気力のない状態」。この状態を中医学では、「気虚」といいます。
からだが重い、だるい、いつも眠い、胃腸が重い、食欲がない、かぜをひきやすい、免疫力が下がる、などの症状は、「気虚」が原因です。
この時期の食養生は、からだの内側からのうるおい補充と免疫力を上げる食材を積極的にとることです。
うるおい補充食材は、白い食材。白ごま、長芋、百合根、豆腐、豆乳などです。(さらに詳しくは、こちら)
免疫力を上げる食材は、私たちのエネルギーである「気」を補ってくれる食材。中医学的な言い方をすると「補気」食材です。加熱するとホクホクする芋類、豆類や鮭、豚肉、きのこ類、黒ごまなどです。
今回は生姜をたっぷり入れるので、からだの内側からもポカポカあたたまり、うるおいと気力もアップして、作り置きもできる、常備菜のそぼろをご紹介します。ごはん、パスタに合わせたり、豆腐にのせても、おいしいですよ。
今月のレシピ
きのこたっぷり豚そぼろ
<材料>(2人分)
豚ひき肉……200g
しめじ……1パック
A
生姜みじん切り……2片分
にんにくみじん切り……1片分
サラダ油……小さじ2
B
砂糖、酒……各大さじ1
しょうゆ……大さじ2
白炒りごま……大さじ2
黒炒りごま……大さじ2
作り方
❶しめじを石づきを切り落としてほぐす。
❷フライパンにAを入れて中火にかける。香りがたったら、豚ひき肉を入れて色が変わるまで加熱する。
❸❷にしめじを加えて炒める。全体的に油が回ったら、Bを加えて更に加熱して水分を飛ばし、ごま2種類を入れてひと混ぜして火からおろす。
お好みでラー油や一味唐辛子を加えてもおいしくいただけます。
昔から「頭寒足熱」といわれていますが、頭を冷やして、足をあたためると、血液の循環がよくなります。この時期は、足首まである靴下を家の中でもはくことをおすすめします。
橋本加名子(はしもと かなこ)
料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」を主宰。『老けない体をつくる! たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)ほか著書多数。新刊『魔法の万能調味料 玉ねぎ麹レシピ』(河出書房新社)が好評発売中。食べてからだを調える「養生・ベジ発酵薬膳クラス」、「ヴィーガンタイ料理・ベジタイ指導者クラス」開催中。
サイト:「おいしいスプーン」oishi-spoon.com
Instagram:kanakohashimoto1
文・写真/橋本加名子(料理研究家、国際薬膳調理師・栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
デザイン/WATARIGRAPHIC