歯科衛生士は女子しかなれなかった?

日本では、現在でも「歯科衛生士=女性」というイメージが定着しています。しかし、歯科衛生士になれるのは女性だけだったかというと、実はそうではありません。

たしかに、かつて歯科衛生士法の第2条第1項では、「歯科衛生士」の定義を以下のように定めていました。

この法律において「歯科衛生士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師(歯科医業をなすことのできる医師を含む。以下同じ。)の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする女子をいう。

ですが、第2条第2項において、同様の業務を行う「男子」についても、法の規定を準用するものとされていました。つまり、法律的には男性でも歯科衛生士になることは可能だったというわけです。

医療業界では、2002年に男女共同参画の観点から、「保健婦・保健士」「看護婦・看護士」「准看護婦・准看護士」をそれぞれ「保健師」「看護師」「准看護師」へ。「助産婦」を「助産師」とする改正が行われました。

それらの流れを受けて、歯科業界でも2015年に歯科衛生士法における「歯科衛生士」の定義を見直され、歯科衛生士法第2条1項内の「女子」という表記が「者」へと改正されたのです。

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男性歯科衛生士の就業実態

では実際に、歯科衛生士として働く男性の就業実態を見ていきましょう。厚生労働省によると、平成24年6月30日の時点で、男性歯科衛生士は43名となっています。同年の全体の就業者数が108,123人となっていることから、女性の歯科衛生士と比べてまだまだ数は少ないと言えます。(厚生労働省「平成28年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」より)

男性歯科衛生士の就業数の最新データは発表されていませんが、就業歯科衛生士の年次推移は増加傾向にあり、男性の学生が入りやすい環境作りに力を入れる専門学校も出てきているので、今後、男性歯科衛生士の活躍の場も増えてくることが予想されます。

また、男性は女性に比べて妊娠・出産などのライフステージの変化を比較的受けにくいこと、実務だけではなく力仕事にも向いていることから、雇用者が抱えるさまざまな課題に応えやすいというメリットもあります。

しかしながら、給与体系やキャリアアップの面で、まだ男性歯科衛生士のロールモデルが確立されていないということも事実です。資格取得を目指す方は、専門学校で相談するなど、事前の情報収拾を怠らないようにしましょう。