ツーバイフォー工法の家は構造上リフォームが難しいとよく耳にします。
しかし実際は、いくつかの制限があるものの、ルールさえ守ればリフォームすることは可能です。
こちらの記事では、ツーバイフォー工法の家のリフォームでできることや工事にかかる費用、施工事例、会社の選び方まで詳しく解説します。
1.ツーバイフォー工法の家もリフォームできる
ツーバイフォー工法とは、規格化された木材をベースに建築する「枠組み壁工法」の一種です。
約2インチ×約4インチの木材を使用するため、「2 × 4(ツーバイフォー)」という名前が付いています。この木材と合板で壁・床・天井のパネルをつくり、「面」で建物を支える構造です。
<ツーバイフォー(2×4)工法>
一方、日本の伝統的な建築方法である在来工法は、柱や梁で建物を支える構造です。
主要な構造物が「線」なので、その間にある壁を取り除くことが比較的容易で、間取りの変更がしやすいとされています。
<在来工法>
このような構造の違いから、ツーバイフォー工法はリフォームが難しいというイメージがありますが、実際にはリフォームは可能です。
ただし、面で支える構造のため抜けない壁が多く、在来工法と比べ空間を広げるリフォームに制限がかかりやすくなっています。
また、在来工法に比べてリフォームに対応できる業者も少ないため、「ツーバイフォー工法はリフォームできない」というイメージがあるのです。
1-1.ツーバイフォー工法のメリット
①耐震性、耐風性が高い
ツーバイフォー工法の家は面で力を受け止めるため、建物全体の強度が高くなります。地震や強風の揺れに強く、地震や台風の多い日本では大きなメリットと言えるでしょう。
②気密性に優れている
ツーバイフォー工法は、面をつなぎ合わせてつくることで隙間ができにくく、気密性を高めやすい工法です。冷暖房効率の向上による光熱費の削減や、ヒートショックなどの健康被害を予防することも期待できます。
③耐火性に優れている
火災時には枠組み材などが空気の流れを遮断し、火が燃え広がるのを防ぐ役割を果たします。耐火性の高さから、火災保険が安くなるメリットもあります。
1-2.ツーバイフォー工法のデメリット
①間取りの自由度が低い
一般的な木造在来工法は、柱や梁などの「線」で支えるため、比較的フレキシブルに間取りを変更できます。
一方、ツーバイフォー工法は「面」で構成されているため、間取りの自由度が低いのがデメリットです。壁で支えるため抜けない壁が多く、大空間や大きな窓をつくりにくい構造になっています。
②リフォームが難しい
ツーバイフォー工法の設計には、壁の位置や窓の大きさなどの細かいルールが多く、大規模なリフォームでは制約が生まれることも。
また、対応できる会社が少ないことも、在来工法よりリフォームが難しいとされている理由です。
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2.ツーバイフォー工法のリフォームのルール
ツーバイフォー工法の家は、明確なルールに沿って設計されています。その基本的なルールを守れば、さまざまなリフォームが可能です。
ツーバイフォー工法の家でも「壁紙を張り替える」「キッチンを交換する」など内部のリフォームであれば、在来工法の家と同じように自由に実施できます。
しかし、構造に関わる下記のようなリフォームは、一定のルールを守りながら実施しなければなりません。
2-1.間取り変更は構造に影響しない範囲内で
ツーバイフォー工法の家では「1部屋の広さ」など一定のルールがありますが、構造に影響しない範囲内であれば間取り変更も可能です。
動かせない壁が出てくることもあるため、ツーバイフォー工法に詳しく、提案力の高いリフォーム会社に依頼すると安心です。
可能な間取り変更リフォームの例
間仕切り壁を撤去して部屋をつなげる
壁を増やして部屋を分ける
<間取り変更のルール>
ルール① 耐力壁線区画の広さは、40平米以内
耐力壁という建物を支える重要な壁で区切られた空間は、40平米(24畳)以内という決まりがあります。
例えば、リビングとダイニングの間の壁を取り払って大きな空間にする場合、その広さは24畳を超えることができません。開放的な空間をつくりたい場合は注意が必要です。
ルール②区画内の耐力壁の長短比は、4以下
耐力壁で囲まれた空間の形についても制限があります。
極端に細長い空間にはできず、長い方の長さは短い方の長さの4倍までとされています。また、どのような形の空間であっても、長い辺は12m以下に収めなければいけません。
2-2.窓やドアの変更は大きさや位置に制限あり
ツーバイフォー工法では、窓やドアといった開口部のつくり方にもいくつかのルールがあります。
開口部の大きさや位置には制限があるものの、ルールを守れば窓やドアの位置・大きさを変えるリフォームも可能です。
可能な窓やドアリフォームの例
小さな窓を増やす
窓の高さの変更
窓を大きくする
<窓やドアのリフォームのルール>
ルール①住宅の角90cmを避けて窓やドアをつくる
ツーバイフォー工法の家の場合、住宅の角には90cm以上の壁が必要なので、その部分にはドアや窓を設置できません。
ルール②窓やドアの幅は壁の長さの4分の3以下にする
耐力壁線上の窓やドアの幅は、壁の長さの4分の3以下にしなければなりません。
例えば、壁の長さ12mの場合、開口部の幅の合計は9m以内です。壁全面を窓にするようなリフォームは不可となります。
ルール③窓やドアの開口部は横幅最大4m以内
窓やドアの横幅は最大4mです。また、横幅90cmを超える場合、補強用の横材「まぐさ」をつけて強度を高めます。
2-3.耐力壁の移動は条件次第でできることもある
建物を支える耐力壁でも、壁を補強するなどしてツーバイフォー工法のルールを守れると判断された場合、移動や撤去ができる可能性があります。
ただし、耐力壁はツーバイフォー工法の家を支えるのにとても重要な部分です。安易な移動や撤去はできないため、ツーバイフォー工法に詳しい専門家に相談しながら実施しましょう。
2-4.増築はできる
増築に関しては、ツーバイフォー工法であっても実施可能です。
ツーバイフォー工法か在来工法のどちらで増築した方が良いかは、既存部分の築年数や状態によって異なります。ツーバイフォー工法での増築を行う場合には、知識の豊富なリフォーム会社に依頼しましょう。
可能な増築リフォームの例
増築してリビングを広げる
増築して部屋を増やす