5.床暖房の種類「温水式」と「電気式」を比較

床暖房には、電気式と温水式の2種類があります。それぞれの特徴やメリットデメリットを紹介しますので、どちらの床暖房がご自身の環境に適しているか比較してみてください。

電気式床暖房
温水式床暖房

イメージ

特徴

工事期間
上張り

張り替え

メリット

デメリット

床に電熱線などの初年帯を組み込んだパネルを設置して床を温める 電気やガスによる熱源機で温めた水を、床下に通したチューブから床板パネルに循環させる
3~4日
4~5日

メンテナンスがほとんど不要

スイッチを入れてから温まるのが電気式より早く、部屋全体を均一に温められる

温度が40℃までしか上昇しないため、低温やけどの心配がない

温水式よりも温まるまで時間がかかる

長時間使用していると高温になり、低温やけどをするおそれあり

ほかの暖房器具と併用して使うため、電気代が多めにかかる

熱源機の設置費用や、その後の点検・部品交換のメンテナンス費用がかかる

床下に配管を通す大掛かりな工事が必要で施工費用が高くなる

初期費用をなるべく抑えたいという人は電気式、コストはかかっても効果を十分に感じたい人は温水式がおすすめです。

現場のプロに聞く!電気と温水どちらがいい?

また、電気式と温水式の床暖房について、リフォーム会社さんにさらに詳しくお聞きしました。

Q.電気と温水、どちらがいいですか?


達磨リフォーム

森田さん

お客様が何を重視されるか次第ですね。

一般的にガス(温水式)のほうが部屋全体が温まり暖房効果を感じやすいですが、家の構造によっては費用が大幅に膨らむことも。

ご自宅の構造によって設置コストや仕上がりが大きく変わりますので、見積もりを取る際にリフォーム会社に相談されるといいと思います。

Q.コストの面では、やはり電気式のほうが安いですか?


達磨リフォーム

森田さん

コストの面では、基本的に電気式のほうが安いです。

ガス(温水式)が高くなる理由は、専用の熱源機(給湯器)が必要なのと、電気式は大工が施工できますが、温水式は温水パネルを貼るメーカー(Rinnaiやノーリツなど)の施工が必要になるため、人件費も高くなるからです。

また、マンションの場合、ガス(温水式)だと外の給湯器から配管を設置するため床をすべて剥がすフルリフォームのような施工になり、かなり高額になります。電気の場合は、設置したい部屋のみ床を張り替えるだけで大丈夫です。

ただし、電気代が高騰している(2023年6月の取材日時点)ため、ランニングコストを考えて総合的なコストも考えるほうが良いです。

Q.暖房の効果はどうですか?


達磨リフォーム

森田さん

暖房効果としては、温水のほうが全体的に暖かくなるイメージです。それに対し、電気式は暖まるのは足元だけです。接地面のみ暖かくなるイメージです。

Q.床暖房を後から入れると、床が高くなって段差ができることはないですか?


達磨リフォーム

森田さん

マンションの場合、電気式だと電熱シートを入れる分、床が一段高くなります。そのため床暖房を入れた部屋と他の部屋との間に段差ができてしまいます。戸建てであれば床下があるので段差のない施工が可能になります。

お話を聞いたリフォーム会社:

床暖房の代表的なメーカー

リフォームに対応している床暖房の代表的なメーカー3社をご紹介します。

直張り
既存の床の上に床暖房の設備を直張りする
Panasonic 電気式の「Youほっと」、温水式の「You温すい」を販売。木質床材3種類、全23色柄から選べる。
リンナイ ガス温水式床暖房を販売。フローリング以外にも、タイルや畳などの仕上げ材が使用できる。
ダイキン 温水式床暖房を販売。床暖房とエアコンを組み合わせる工事もできる。

それぞれ特徴が異なるので、じっくり比較して選んでみてくださいね。

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6.マンションで床暖房後付けする場合の注意点

マンションは集合住宅であるため、戸建てと違って自由自在にリフォームすることはできず、一定の制約が設けられているのが一般的です。ここでは、マンションで床暖房を後付けするときの注意点を解説します。

[1]管理規約で床暖房設置ができない場合がある

マンションでは、管理規約で専用部分のリフォームについて、さまざまな制約を設けています。もし管理規約に床暖房の設置が許可されていない場合、後付け工事はできません。

まずは管理規約をチェックして、不明な場合は管理組合に確認することが重要です。

[2]電気容量を確認する(電気式の場合)

マンションでは、各住戸で使える電気容量が決まっています。中古マンションでは30アンペア以下の物件も多く、電気式の床暖房を稼働するには容量が足りない場合があります。

万が一電気容量が足りない場合は、容量を増やすための工事が必要です。しかし、それには管理組合の許可が必要になったり、そもそも容量を増やせなかったりするケースも少なくありません。

まずは、電気容量に余裕があるかどうかを事前に確かめることが重要です。

[3]屋外に床暖房周辺器具のスペースが確保できるか確認する(温水式の場合)

温水式床暖房では、屋外に熱源を置いておくスペースが必要です。後付けリフォームに際しては、周辺機器を含めたスペースをバルコニー等に確保ができるか確かめましょう。

[4]使用できる床材が限定される

既存の床を張り替えて床暖房を設置する際、マンションでは床材に関して管理規約で規定があるケースが多いため、選べる床材が限られる傾向があります。

お好みの色や質感の床材にできない場合もあるので、床材にこだわりのある方はどんな床材が選べるのか、最初にリフォーム会社に確認することをおすすめします。

マンションのリフォームは、他にも集合住宅ならではの注意点があります。詳しくは以下の記事で紹介していますので、あわせて確認してください。

【マンションの床リフォーム】張り替え前の注意事項|工法・種類・費用を確認

マンションの床暖房リフォームを完全解説!費用・工期・注意点など