兵庫県知事選(2024年11月17日投開票)は、各マスコミによる投開票日1週間前の情勢分析では、元尼崎市長の稲村和美氏が「わずかにリード」し、前県知事の斎藤元彦氏が「激しく追う」展開だと報じられている。
そもそも、今回の県知事選は、9月19日斎藤前知事のパワハラ・おねだり疑惑により兵庫県議会が全会一致で不信任決議し、その結果30日に失職したことによる、出直し選挙だ。
「パワハラ」問題、客観的・決定的といえるものは乏しいと思っていた
その当時の報道は、パワハラ・おねだり一色で、斎藤前知事には弁解の余地はなかったように見えた。出直し選挙に斎藤前知事が出るのを批判する人もいた。もっとも、筆者はパワハラやおねだりといっても県職員へのアンケートに基づくもので、客観的・決定的といえるものは乏しいと思っていた。当時から不可解な事件と感じていたが、兵庫県という地方の話なので、あまり深入りしなかった。その後、ちょっと調べてみると、百条委員会が本来しっかり調査すべき、亡くなった職員の公用PCの中身について、ほとんど資料が出ていないことに気づき、いろいろと調べると、ちょっと信じがたいものが浮かんできた。
もちろん、それをそのまま信用するわけにはいかなかったので、いろいろな関係者に感触を聞いたら、マスコミ報道とは異なり、どうも斎藤氏のパワハラ・おねだりではなく、職員の不祥事がどうやら問題になっていたようだ。筆者は、10月2日の高橋洋一チャンネルで話した(https://www.youtube.com/watch?v=jRk-bozgdiE)。
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波紋広げるNHK党・立花孝志氏の政見放送
どういう展開になるのかと思っていたら、なんと「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が県知事選に立候補し、政見放送において、当該職員が何年にもわたり複数の人と不倫関係があったと言った(https://www.youtube.com/watch?v=2uMPRIsV3WI)。
こうした話は当然ながら、あれだけ斎藤前知事をこき下ろした既存マスコミは報道しない。しかしながら、ネットでは溢れかえっており、そうした情報を得た人たちの間では、斎藤前知事の人気がぶり返しているようだ。
今回の県知事選は、オールドメディアとネットメディアの争いのようにも見える。今週日曜日の投開票日の投票率如何では、ひょっとしてひょっとする結果になるかもしれない。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。