人間わがままが勝ち!そのままの自分で自由に
(C)2020映画「老後の資金がありません!」製作委員会
そんな草笛さんが「これも素敵な巡り合いの一つ」と語るのが、2021年秋に公開の映画「老後の資金がありません!」。老後資金問題や家族の騒動に奮闘する主婦を天海祐希(あまみ・ゆうき)さんが演じ、草笛さんは浪費家の姑役で登場します。
「嫁は老後の心配をしているのに、私が演じる姑はそんなことおかまいなしで天真爛漫。かなりコミカルな思い切った役で、『私には難しいわ』と監督に相談したら、『心配しないでください。草笛さんはそのまんまでおかしいですから』と言われて(笑)。
今までは二枚目のいい女だと思ってきたんだけど、やっぱり私は三枚目だと気付かされちゃったわね。もう気どりもへったくれもなく、監督の言う通り、とんでもない姿をお見せしています(笑)」
映画の中で印象的なのが、姑が最後に嫁に告げる「人間わがままに生きた方が勝ちよ」というセリフです。
「いいセリフを言えることは、すごくうれしいこと。私もこれからはわがままに、“そのまんま光子”で生きたい(笑)。
人に迷惑をかけるわがままはだめだけど、そうじゃないわがままは言いたい放題言って、死んだ後に『面白い女優さんだったわね』と言われるくらい、好きなことをのびのびやりたい。その境地にきています。80代って自由で面白いわよ」
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逃れられない老い、どう感じている?
愉快そうに笑う草笛さんですが、一方で逃れられない老いも感じているといいます。
「目はかすむし、耳は遠くなったし、歯はガタガタ。たぶんそうやって体から一つ一つ、あの世へ先に持っていかれるんですね。あれもこれも持っていかれたら、後はみなさんに頼って、私はふわふわ自由に生きたい。
ただ『きれいに生きましょう』という母との約束は最後まで貫きたいです。きれいというのは、見た目の美しさではなく、人を蹴飛ばしたり、汚い生き方をしないということ。
もうちょっとがんばって、私が本当にいい女優になったら、母が『おいで』と言ってくれると思うんです。今はまだダメ。きっと『まだ早いわよ』って、母に言われるでしょうから」