東京商工リサーチが2010年から行っている「社長の出身大学調査」(2024年10月30日付)に異変が起こっている。
2024年は、14年間不動の1位に君臨してきた日本大学の凋落が目立つのだ。また、「優秀な社長」の証でもある「増収」「増益」を達成したランキングでは、上位に意外な顔ぶれの大学が並ぶ。
いったいどういうことか。調査担当者に聞いた。
慶応、早稲田、MARCH、関関同立が勢ぞろい
東京商工リサーチの調査は、同社が保有する企業データベース(約400万社)から代表者データ(個人企業を含む)で公開された出身大学を抽出、集計した。
社長の出身大学は、日本一のマンモス校の日本大学が14年連続でトップを守った。だが、社長数は1万9974人と調査を開始以来、初めて2万人を下回った。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学で、2位の慶応に僅差で迫る【図表1】。
4位以下は、明治大学、中央大学、法政大学と「MARCH」の3校が並ぶ。次いで、東海大学、近畿大学、同志社大学、東京大学が続く。11~20位には、「MARCH」から青山学院大学と立教大学、西の「関関同立」から関西大学、立命館大学、関西学院大学が入った。
日本大学は、都道府県別に見ると、西日本エリアでトップを占める県が初めてゼロになった。また、創業100年以上の老舗企業社長ランキングでも1194人と、2位の慶応義塾大学(1112人)に82人差に迫られるピンチぶり。
さて、興味深いのは、「社長の経営手腕」を出身大学別に調査したデータだ。
出身社長数の上位100校を対象に、経営する企業の直近2期の売上高と当期利益を比較し、出身社長数全体のうち、「増収」「増益」「増収増益」の3部門で社長数の割合を算出、ランキング化した。
その結果、3部門ともトップに輝いたのが一橋大学。
前年に続いての1位独占だ。前身は東京商科大学で、日本最初のビジネススクール「商法講習所」を源流に持つ。経済分野のリーダー育成理念を受け継ぎ、多くの著名財界人を輩出してきた【図表2】。
2位以下の大学には多彩な顔触れが並ぶ。
東京大学、京都大学などの旧帝国大学よりも上位に地方の国公立大学や、明海大学(千葉県浦安市)といった新興の私立大学が目につく。こうした大学はどんな優秀な社長を輩出しているのか。
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日大の凋落の陰に、社長の世代交代
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめた東京商工リサーチ情報部の担当者の話を聞いた。
――日本大学が14年連続トップということは、卒業生の数が桁外れに多いからでしょうが、近年凋落が著しいのはなぜでしょうか。その代わり、都道府県別にみると、各地で地元の国公立大学やエリア有力私立大学がトップを占めるケースが多くなりましたね。
担当者 各地の社長の世代交代との関係性が考えられます。世代交代といっても若返ったというわけではなく、全体的に社長の年齢は高齢化しています。
しかし、1つ下の世代の新社長は、東京にある日本大学の卒業生ではなく、地元進学を志向した層が徐々に増加傾向にあるのではないかとみています。それが、各地で地元の国公立大学や私立大学出身が増えた理由と考えられます。